いわきFC攻め抜いた 大宮に5-1、田村新体制で初白星

 
【大宮―いわき】後半38分、右足を振り抜き、復帰戦でゴールを決めるいわきのMF岩渕(右)=NACK5スタジアム大宮

 サッカーJ2第22節-。いわきFCは24日、アウェーのNACK5スタジアム大宮(さいたま市)で22位の大宮アルディージャと対戦、5―1で快勝し、6試合ぶりの勝利を手にした。通算成績は5勝5分け12敗で、順位は22チーム中21位のまま。

 いわきは前半7分、FW吉沢柊のゴールで幸先良く先制すると大宮を攻守で圧倒し3―0で折り返した。後半は1失点したものの、MF谷村海那と約8カ月ぶりに復帰したMF岩渕弘人が追加点を奪うなど終始ペースを握って試合を進め、田村雄三監督による新体制での初白星をつかんだ。

 いわきは次戦の7月2日、アウェーのソユースタジアム(秋田市)でブラウブリッツ秋田と対戦する。午後6時開始予定。

いわきFCの試合結果

【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】いわきは攻撃的な姿勢が奏功し序盤から得点を重ね、快勝した。果敢なプレス守備と分厚い攻めで敵陣に襲いかかり、前半7分、有田のパスに合わせた吉沢のシュートで先制し波に乗った。前半にさらに2点を追加すると、後半も攻撃の手を緩めずダメ押しの2点を追加した。最後まで集中力を保ち、体を張ったプレーで失点を1に抑えた。(小磯佑輔)

 岩渕、涙の復帰弾

 滴り落ちる汗にうれし涙が混じった。いわきのMF岩渕弘人は右足のけがから約8カ月ぶりとなる復帰戦をゴールで飾った。「リハビリ中の苦しい時に支えてくれた人たちを思い出したら涙が出てきた」。試合終了後は時折、ユニホームで顔を覆いながら勝利の余韻に浸った。

 後半15分にピッチに立つと、持ち味を存分に発揮した。「みんなの頑張りで、リードを奪った状態で気持ち良くピッチに立てた。武器とする前からの100%のプレスで相手を自由にさせたくなかった」と岩渕。その姿勢がゴールを呼び寄せた。

 見せ場は同38分、相手が横パスをした一瞬の隙に生まれた。「絶対にミスをすると思った」。前線で相手DFのトラップミスを逃さず、けが明けでテーピングをまいた右足を振り抜き、ゴールネットを揺らして見せた。

 昨年10月30日のテゲバジャーロ宮崎戦で右前十字靱帯(じんたい)と外側半月板を損傷する大けがを負い、手術を経てリハビリに励んできた。1週間前の練習試合に出場し、調整した夜には「復帰戦でゴールを決めて、ヒーローになる夢を見た」

 夢は現実となった。ゴールを決めると、スタンドのサポーターに駆け寄り、喜びを分かち合った。

 帰ってきた岩渕の存在はチームを上昇気流に乗せてくれそうだ。「チームが苦しんでいた前半戦で力になれなかった。後半戦は自分が『勝たせる』」。期待が膨らむ滑り出しに、言葉も力強かった。(佐藤智哉)