いわきFC...上昇気流 「常磐線ダービー」大逆転!ホーム2連勝

 
【いわき―水戸】2連勝で降格圏を脱出し、サポーターと喜びを分かち合ういわきイレブン=9日午後、いわき市・いわきグリーンフィールド

 注目の「常磐線ダービー」を大逆転で制し、上昇気流に乗った。サッカーJ2のいわきFCは9日の水戸ホーリーホック戦でホーム2連勝を飾り、J3への自動降格圏(21、22位)から脱した。新体制発足後5戦負けなしで、自分たちのサッカーへの手応えを実感するイレブン。「いわきらしさ」を貫き、混戦の下位からの抜け出しに次の照準を定める。

 JR常磐線沿線に本拠地を置くチーム同士が対戦する「常磐線ダービー」は、21位いわき、16位水戸ともに勝ち点が「3」差だけに譲れない一戦だった。

 試合中は終始、肌にまとわりつくような湿気がいわきグリーンフィールドを包んだ。スタミナをじわじわと奪う蒸し暑さの中でも、いわきの「走り勝つサッカー」は変わらない。ピッチ上の誰もが最後まで足を止めず、最大2点差をひっくり返しての逆転勝利をつかんだ。逆転劇を演出したMF宮本英治は「間違いなくチームは強くなっている」と自信をのぞかせた。

 白熱した試合を一層盛り上げたのはサポーターだ。約800人の水戸サポーターも駆けつけ、入場者数は開幕戦に次いで2番目に多い3705人。打ち合いの展開だったこともあり、時間を追うごとにスタジアムの熱気は高まった。「両チームのサポーターがすごく良い雰囲気をつくってくれた」。決勝点を決めたMF岩渕弘人は感謝した。

 いわきは19位に浮上し、ひとまず降格圏を脱したとはいえ、決して油断はできない。今季のJ2が「例年になく勝ち点が団子状態」(田村雄三監督)のためだ。16位山口から21位金沢までの6チームが勝ち点「6」差の中でひしめき合い、今後もめまぐるしく順位の入れ替わりが予想される。

 ただ、順位や状況が変わっても試合に臨む姿勢は揺るがない。就任から無敗が続く田村監督は「一戦一戦をしっかり戦い、一つでも上の順位を狙いたい」と冷静だ。宮本も「いわきらしいサッカーを届けたい」と上位を見据えて気合を込め直した。(小磯佑輔)