いわきFC逃げ切る 大分に2-1、7試合連続負けなし

 
【大分―いわき】前半終了間際、先制点を決めて喜ぶいわきのMF山口(左)とアシストしたFW有田=レゾナックドーム大分

 サッカーJ2第27節ー。サッカーJ2のいわきFCは22日、アウェーのレゾナックドーム大分(大分市)で大分トリニータと対戦、2―1で逃げ切り、7試合連続で勝ち点を積み上げた。通算成績は8勝7分け12敗で、順位は暫定で22チーム中16位に浮上した。

 いわきは前半終了間際にMF山口大輝がヘディングシュートを決めて先制すると、後半13分には鮮やかなパスで相手を崩し、途中出場のMF岩渕弘人が追加点を奪った。

 後半39分に1点差に詰め寄られ、その後もゴールを脅かされたが、体を張った守備で大分を振り切った。

 いわきは次戦の29日、ホームのいわきグリーンフィールド(いわき市)で2位のジュビロ磐田と対戦する。午後6時開始予定。

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【動くグラフで見るJ2順位】

 【評】いわきは今季初の3バックが奏功し、競り勝った。前半立ち上がりからマンツーマン守備で主導権を握り、何度も敵陣に侵入。前半終了間際、CKの流れからMF山口が先制点を決めた。後半もいわきペースが続き、後半13分に途中投入のMF岩渕が追加点を決めた。後半39分に守備陣の判断ミスから1点を返されると、その後は勢いに乗る大分に押されたがなんとか逃げ切った。(小磯佑輔)

 今季初の3バック採用

 賭けの布陣変更が絶大な効果を発揮した。今季初めて採用した3バックによる強気のマンツーマン守備で強敵を撃破した。先制点を挙げたMF山口大輝は「戦術で上回れた。戸惑いもあったが、一人一人がよく理解できた」と充実の表情だった。

 前節から先発を4人入れ替えた。立ち上がりから相手の立ち位置に合わせるように「3・4・1・2」で立ち、敵陣深くからマンツーマンを仕掛けた。ショートパスが主体の大分にロングボールを使わせ、DF3人で相手の3トップを抑え込んだ。

 3バックの効果は攻撃にも表れた。4バックの大分とのズレを利用し、両サイドのスピードを生かして前進した。良い攻撃が続いていた前半の終了間際に先制。後半には右サイドでの速攻からMF岩渕が追加点を決めた。

 マンツーマンの弱点は、1人でもかわされると一気にピンチになること。事実、大分の速攻も数多く受けた。ただ、このハイリスクを補う走力が今のいわきにはある。ピンチでは全員で戻り、体を張ってゴールを守った。

 田村雄三監督は試合後、大胆な布陣変更は「賭けだった」と明かした。「4・1・4・1」を使って6戦無敗中だったが「この状態は長く続かない。3バックもできたほうが良い。勝利できたら自信になる」という思いだったという。

 賭けに勝ち、チームは7戦無敗。自信と勢いを持って次節、好調の2位磐田をホームで迎え撃つ。山口は「選手と監督のコミュニケーションもかみ合っている。(今後も)雄三さんの戦術に合わせていきたい」と意気込んだ。(小磯佑輔)

 加瀬、縦横無尽

 いわきのFW加瀬直輝は縦横無尽にピッチを駆け回り、右サイドから起点となって2得点に絡む活躍。6試合ぶりの先発起用に応え、「スピードを生かしたプレーを体現できた」と目尻を下げた。

 前半終了間際、加瀬がこぼれ球を拾って供給したクロスボールから先制点が生まれた。後半13分には右サイドを突破し、貴重な追加点への足掛かりをつくった。豊富な運動量で貢献し、体力的な負担も心配されるが、「普段のトレーニングの方がきついので、大丈夫です」と言ってのけた。