猪苗代を「漆の楽園」に 漆器職人や農家ら、15年で3000本目標
漆器職人や農家らでつくるウルシの植栽活動に取り組む団体「猪苗代漆林(うるしりん)計画」が本格始動した。猪苗代町の休耕地に今年から毎年、100~200本のウルシの苗を15年間にわたり植え続ける計画で、計3千本の植栽を目指す。13日、現地で初の植樹イベント「めぶき祭」を開き、ウルシの苗約100本を植えた。
団体は猪苗代町の漆器職人平井岳さん(35)、伝統野菜農家土屋勇輝さん(35)、会津若松市の漆器コーディネーター貝沼航(わたる)さん(44)が結成。国産漆の供給不足解消と休耕地活用による獣害対策という二つの課題解決を目指し、2年間の試験植栽を経て本格的な活動を始めた。
ウルシの木は自然の中で自生できず、植栽後は長期間育成して漆を採取する。漆が採れるまでに15年かかり、1本の木からコップ1杯分(約200ミリリットル)しか採れないため、国産漆の供給不足が深刻化している。
植樹イベントには結成メンバーやボランティアら約20人が参加。猪苗代町壺楊地区の休耕地で、参加者がウルシの苗木を1本ずつ丁寧に植えた。貝沼さんは「伝統工芸と里山の未来のために地道に活動を続け、15年後には『漆の楽園』と呼ばれるような名所を目指したい」と意気込みを話した。
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