名画の前で「ダリ寄席」 諸橋近代美術館で三遊亭兼好さん

 
落語を披露する三遊亭兼好さん

 会津若松市出身の落語家三遊亭兼好さんが、諸橋近代美術館(北塩原村)で展示されているダリの大作の前で落語を披露した。同館の開館25周年イベント「ダリ寄席」として4月20日に開催。兼好さんは「美術館で落語をするのは初めてで感激している」と語りながらテンポの良い楽しい一席を届け、普段は静かな館内を笑い声で包んだ。

 イベント会場は常設展示されているダリの大作「テトゥアンの大会戦」の専用展示室で、ステージは作品の正面に設置された。縦約3メートル、横約4メートルの油彩画の大作で、同館コレクションの目玉になっている。

 舞台に登場した兼好さんは「絵の邪魔になってないですか」と明るく恐縮しながらも、時事の話題をふんだんに盛り込んだマクラ(落語の導入部)で観客を引き込んだ。ダリの10歳年上の妻ガラは敏腕マネジャーとして知られることから「高名な芸術家のパートナーにはしっかり者が多い。ダリは最後まで愛妻家だったので素晴らしい」と紹介し、古典落語の「熊の皮」を披露。妻から家事や用事を次々と言い付けられる夫が主人公の演目で、夫の悲哀を軽やかに笑いに変換して会場を沸かせた。