【首長に聞く】広野町長・遠藤智氏 移住定住の施策充実させる

 
遠藤智広野町長

 広野町は、東京電力福島第1原発事故による緊急時避難準備区域の解除から11年余りにわたり地域再生の歩みを進め、町民の居住率は9割を超えている。遠藤智町長は「移住定住の施策を充実させ、これからの町の将来像を描きたい」と展望を語る。

 ―復興の進み具合をどのように見ているか。
 「JR広野駅東側に子育て世帯向けの住宅団地を整備しており、近く造成工事が完了する。新年度から販売を開始する予定で、町として移住の支援策も準備している。整備中の東町産業団地では半数で進出企業が決まっていることから、雇用の場も確保される見通しだ。新たな人の交流、居住、就労を確かなものにしていきたい」

 ―福島国際研究教育機構の設立を踏まえ、町は新産業の創出にどう関わるか。
 「東大アイソトープ総合センターと協定を結び、がん治療の医薬品開発を進めてきた経緯がある。広域的にいわき市や市内の医療機関などと連携して取り組みをさらに進めることで、広野町の役割を果たしていきたい。早大と実施してきたフォーラムでは、廃炉などの問題について議論を重ねており、地域課題の解決につながると考えている」

 ―今後のまちづくりをどう進めていくか。
 「JR広野駅周辺を復興計画の中核拠点として位置付けており、駅舎改修や西口広場のロータリー整備についてJR東日本と協議して計画的に進めていく。旧広野幼稚園を文化交流施設『ひろの未来館』として開所するなど子育てしやすい環境を整えており、共生のまちづくりを今後も充実させていきたい。原発事故からの復興や人口減少など、町村単独では解決できない問題については、双葉郡でスクラムを組んで古里を守っていきたい」