アートで復興後押し 25年に「浜通り国際芸術祭」開催へ

 
浜通りで撮影した写真を野外に展示したふくしま浜通り国際芸術祭のプレイベント=昨年9月、富岡町

 浜通りの復興をアートで後押ししようと、県内外の芸術やイベント関係者らが2025年の開催を目指し「ふくしま浜通り国際芸術祭」の準備を進めている。

 会場は浪江町や富岡町などを想定しており、空間全体をアートとして表現する「インスタレーション」を中心に、彫刻や絵画などの作品を展示する計画だ。

 関係者が発足させた実行委員会準備室は、瀬戸内海の島々に現代アート作品を飾る「瀬戸内国際芸術祭」に着想を得たという。国の誤った政策でハンセン病の元患者が強制隔離された問題などを取り上げ、発信につながった実績があるためだ。国際芸術祭を通じて、震災と原発事故に直面した浜通りの復興の現状を世界に伝えていく狙いがある。

 準備が始まった22年にプレイベントを初開催し、昨年9月にも富岡町と浪江町で第2弾を企画した。東京や米ニューヨークを拠点に世界で活躍する写真家レスリー・キーさんと、本県で活動する写真家の岩波友紀さんが浜通りで撮影した作品を野外に展示した。今年もプレイベントとして、芸術祭の参加アーティストを招いた体験型講座を予定している。

 富岡町出身のライターで実行委準備室の堀川静さんは「アートの力を使って浜通りをわくわくさせたい。浜通りから世界をわくわくさせたい」と原点を明かし「地元に住んでいる人たちに向けたアートに加え、避難先で人生の続きを送っている人たちにも届くようなイベントにしたい」と思いを口にした。