映像・芸術文化の創作支援 経産省、23年に福島推進室設置

 

 映像や芸術文化を活用して浜通りの魅力向上につなげる「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」が本格化している。国内外の芸術家やクリエーターらが原発事故で避難指示が出た12市町村に集い、「アートの力」で被災地の復興を応援しようと挑戦を続けている。

 プロジェクトは、経済産業省の主導で2022年7月に始動。芸術家らが2週間~4カ月間ほど12市町村に滞在して地域の魅力を掘り起こす創作活動などを公募し、活動に関する費用を支援する。

 これまでに国際的に有名なハンガリーの映画監督タル・ベーラ氏をはじめ、国内の現代アートや文芸、演劇、音楽など各分野で活躍するアーティストらがプロジェクトに参加。浜通りを南北に貫く国道6号を題材にしたエッセーやドキュメンタリー映像、飯舘村の環境を表現した体験型演劇作品などを制作した。

 アーティストが住民と一緒に大型の植物標本を作ったり、子どもたちが音楽に触れる機会を設けたりするなど、地域を巻き込みながら芸術文化を根付かせようとする取り組みも進む。

 経産省は組織的にプロジェクトを展開するため、昨年6月に20~30代の若手職員ら約60人でつくる「福島芸術文化推進室」を省内に設置した。担当者は「芸術家と住民が交流しながら地域に活力を生み出す取り組みを進めたい」と話した。