【古関裕而生誕110年】王貞治氏、中畑清氏に聞く 元気もらった応援歌

 
古関裕而の応援歌について語った王さん(左)と中畑さん

 甲子園球場(兵庫県西宮市)で球児たちが熱戦を繰り広げる「夏の高校野球」といえば、「雲は湧き 光あふれて~」の歌い出しで知られる大会歌「栄冠は君に輝く」だろう。

 甲子園に響くメロディーは福島市出身の作曲家古関裕而が作曲した。野球関係では「巨人軍の歌(闘魂こめて)」や「阪神タイガースの歌(六甲おろし)」なども手掛けている。「スポーツ音楽は古関」と絶賛された国民的作曲家の旋律は、今なお人々を引きつける。

 「古関さんのメロディーは心に残るから歌い継がれる。良い音楽ってそういうもんだ。試合中も古関さんの曲に助けられた」と語るのは、プロ野球巨人で選手や監督として活躍した現・ソフトバンク球団会長の王貞治さん(79)だ。

 世界記録となる通算本塁打868本を記録するなど「世界の本塁打王」として、今も球界で活躍する王さんは現役時代、古関メロディーの「闘魂こめて」に何度も元気をもらった。一方で、阪神戦では同じく古関メロディーの「六甲おろし」も球場に鳴り響いていた。

 熱烈な阪神ファンの応援に王さんもさぞ苦しんだかと思いきや、「『六甲おろし』はリズム感があって良い歌なんだ。相手の応援歌なんだけど、実はこっちも励まされていた」と意外な答え。「古関さんの応援歌はスポーツをしている人を元気づけようという思いがあふれているからね」

 朝ドラで全国発信を

 巨人で活躍し横浜DeNA監督も務めた矢吹町出身の中畑清さん(65)も「福島が生んだ大音楽家で野球にも縁が深い」とたたえる。来春のNHK連続テレビ小説で古関夫妻をモデルにしたドラマ「エール」が放送されることを挙げ、「明るい話題で全国に福島をアピールできる。県民にとっても郷土の偉人を再確認できる良い機会」と喜んだ。

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 古関のスポーツ音楽 1931(昭和6)年に早大応援歌「紺碧の空」、36年に「六甲おろし」、48年に「栄冠は君に輝く」、63年に「闘魂こめて」、64年に「オリンピック・マーチ」など数多くの楽曲を発表。栄冠は君に輝くの作曲は、古関が甲子園球場で曲想を練った。