【古関裕而生誕110年】オリンピック・マーチ 国民に感動!運動会の定番

 
古関夫婦の写真とともに、記念撮影に応じた窪田さん=7月23日、福島市役所

 「心も浮き立つような古関裕而作曲」とアナウンサーの実況。1964(昭和39)年10月10日、東京五輪開会式で行進曲「オリンピック・マーチ」が奏でられた。アジア初の五輪というひのき舞台で、古関が作曲家としての名声を不動のものにした瞬間だった。

 古関は曲の構想を「日本的な味を出そうと苦心した。終わりの部分で、日本が五輪をやると象徴するために『君が代』の一節を取り入れた」と振り返り「一世一代の作として精魂込めて作曲した」と自負した。

 同マーチは国民に深い感動を与え、今も運動会の定番曲だ。そして2度目の東京五輪が来年に迫った。福島市では野球・ソフトボール競技の一部試合が行われる。合わせるように古関夫妻がモデルのNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」が来春から放映される。

 「偉業を成し遂げるまでの成長の変化を表現したい」と語るのは朝ドラで主役を務める俳優の窪田正孝さん(31)。7月に福島市を訪れた際、作曲家として頂点を極めた古関を演じるに当たっての意気込みを語った。

 朝ドラ化に向け2014年から活動してきたのが福島商工会議所青年部だ。根底には「曲は分かるが、作曲者は分からない」といった若年層の古関離れがあった。このままでは古関の偉業が消えてしまうと危機感を持ち、活動を展開した。

 「古関夫妻の物語はドラマチック」と朝ドラに注目するのは福島商工会議所の渡辺博美会頭(72)。古関メロディーは全国にゆかりの地があるため「広がりは計り知れない」と古関の顕彰にも期待を寄せた。

 没後30年が経過した今もなお、生き生きとした旋律が故郷への"エール"として響き渡る。古関メロディーは時代を超えて歌い継がれる。=おわり

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 朝ドラ「エール」 古関裕而と妻金子の生涯をモデルに来春から放映される。内容は戦前・戦中・戦後を生き抜き、数々の名曲を生み出していく夫婦の姿を描いていく。主人公役を窪田正孝さん、ヒロインの妻役を俳優の二階堂ふみさんが演じる。撮影は間もなく始まる予定で、県内での撮影も検討されている。