朝ドラ・エール...活性化の『起爆剤』 福島への経済効果は抜群

 
朝ドラの波及効果について語る(右から)川口さん、松田さん、角南さん

 福島市出身の作曲家古関裕而と妻金子(きんこ)をモデルとした来春のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」をテーマとした講演会「『朝ドラ』が福島にもたらす大きな波及効果」が15日、福島市で開かれた。出席者が過去の朝ドラの舞台となった地域の経済効果などについて学び、観光振興につなげるための方策を考えた。

 市などの主催で午前の部と午後の部の2回開き、観光関係者など計約320人が出席。申し込みが殺到したため当初予定の会場を変更して開催した。NHK「エール」広報展開プロデューサーの川口俊介さんと朝ドラ「なつぞら」の舞台となった北海道十勝地方のとかちフィルム・コミッション連絡協議会の松田里奈さん、朝ドラ「マッサン」の舞台となった広島県竹原市観光協会前専務理事の角南(すなみ)正之さんが講演した。

 川口さんは「放送から10年後、20年後も含めてご当地が活性化することが大事。一緒に福島のまちづくりができればと思う」と地域活性化へ思いを述べた。エールでの本県の扱いについては「『なつぞら』は主人公のふるさとの北海道編に舞台が戻ると視聴率が上がった。エールでも、見ている人たちは福島を自分のふるさとのような気持ちで見ると思う」と説明。「放送期間中、必ず多くの人が福島に来るだろう」と指摘した。また「古関は全国の校歌をつくっている。朝ドラ史上珍しいことだが、全国にご当地が広がる可能性を秘めている」とも語った。

 松田さんは、本年度の5月の大型連休中に朝ドラに関連した十勝の観光施設の訪問者が前年比168%に上ったことや、関連商品が観光客に喜ばれていることなどを紹介。経済効果が95億円に上るとの試算があるといい、「ここまで『なつぞら』効果があるとは思っていなかった」と影響の大きさを語った。角南さんは、マッサンによる竹原市の経済効果が53億円に上ったことなどを紹介。「観光客が増えてみんなが元気になり、自信がついた」とした上で「鶴ケ城や猪苗代湖などは有名で、多くの人にとって『いつか行きたい地域』だが、朝ドラでこれが『1年以内に行きたい地域』に変わるだろう」と指摘した。

 冒頭にあいさつした木幡浩市長は「エールは我々にとって千載一遇の好機。これをいかに成果に変えられるかが問われている」と呼び掛けた。