名歌手の本宮出身・伊藤久男に脚光 朝ドラ主人公友人のモデル

 
伊藤の功績を紹介しているパネルと胸像=JR本宮駅前

 福島市出身の作曲家古関裕而をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」。これまで"謎の男"とされてきた「佐藤久志」が13日放送の第33話で、幼なじみの主人公古山裕一と運命の再会を果たした。

 佐藤は古関の親友で本宮市出身の名歌手伊藤久男(1910~83年)がモデル。今後、2人が展開する友情ストーリーも目が離せなそうだ。

 山崎育三郎さん演じる佐藤は第27話で歌の練習をする古山の妻・関内音の前に突然現れ、アドバイスをし、姿を消す「謎の男」として登場。第32話で「東京帝国音楽学校」の学生として、美声を披露したが名前は明かされていなかった。

 伊藤久男は、本宮小時代からピアノを始め、歌もうまかったという。音楽家を志し、古関らの紹介で帝国音楽大に進み、福島市出身の声楽家平間文寿に師事。1932(昭和7)年、コロムビア歌手に応募し合格、デビューを果たした。

 古関作曲の「イヨマンテの夜」や「栄冠は君に輝く」などを歌い、多くのヒット曲を送り出したほか、古関と福島市出身の作詞家野村俊夫の3人で「コロムビア三羽ガラス」としても活躍した。

 本宮市には、JR本宮駅前に伊藤の功績を発信するパネルと、伊藤の曲が流れる胸像が設置されているほか、花山公園に「イヨマンテの夜」の歌碑が建立されている。歌碑には古関が伊藤に宛てたメッセージも刻まれている。

 伊藤とゆかりのある市内の大天狗酒造やドイツパン工房「ハルツ」では、関連商品を販売。コミュニティFM局「FMモットコム」は平日午後2時55分と土、日曜日午後6時50分から伊藤の曲を紹介している。