◇秋季東北地区高校野球福島県大会・第１日（１６日・ヨーク開成山スタジアムほか１０試合）

　若松商　６―３　白河旭・県立石川・小野・南会津

　見事な逆転勝利で新監督に初勝利を届けた。勝ち越しのスクイズを決めた若松商の佐藤侑（あつむ）（１年）は「やるべきことをやっただけ」と、新監督の信頼に応えた一打を静かに喜んだ。

　今秋から磯前翔斗監督が就任し、新たな船出となったチーム。しかし県大会に先立って行われた支部予選では初戦敗退。この試合も中盤まで３点を追う展開となり、チームは重苦しい空気に包まれた。

　５回に打線が奮起して同点とし、いやな雰囲気を振り払うと、６回１死三塁で佐藤に打席が回った。打席に入る前、磯前監督からベンチでこう告げられた。「お前はスクイズでいくぞ」。犠打を得意とする佐藤に勝ち越しが託された。

　２球ボールが続き、３球目でスクイズを仕掛けるがファウルとなった。「焦りが出てきた」。佐藤は一度打席を外し、気持ちを落ち着かせると、続く４球目の外角低めの直球を投手前にしっかりと転がした。三塁走者が生還。完璧なスクイズを決め、佐藤は手をたたき大喜びでベンチへと駆けていった。

　監督就任後初の公式戦勝利に、磯前監督は「子どもたちを信じて教えてきた。粘り強く頑張ってくれた」とたたえた。最終目標の「甲子園」に向けて、新チームが大きな一歩を踏み出した。（津村謡）

【９月16日の試合結果】秋季高校野球福島県大会・第１日