いわきの人気店、「チャーハン専門」に 「中華一番」作者も激励

 
(写真上)チャーハン専門店をオープンした東さん(写真下)「中華一番」の作者・小川さんから届いた色紙

 いわき市の東(あずま)孝之さん(48)は今月、同市小名浜にチャーハン専門店を開店した。「炒飯(チャーハン)専門店東や3代目」と名付けた店は再出発の店だ。経営していた「お食事処東や」が昨年12月に閉店。一緒に切り盛りしていた母キヨさん(69)の体調不良が理由だった。閉店を惜しむ常連客らの声に後押しされ、メニューをチャーハンだけに絞り、新たな一歩を踏み出した。

 「もう一度、あの味を食べたい」。常連客らの声を受け、東さんは立ち上がった。閉店した店は60年以上続く人気店だった。台湾出身の祖父一雄さんが横浜市で開業し、1959年に小名浜に移転した。祖父から父、そして3代目の東さんへと受け継がれてきた。メニューは、焼き肉定食などのセットメニューをはじめ、中華そば、カツ丼など約30種類。その中でもチャーハンは、客から一目置かれる人気商品だったため、体調不良の母の手を借りずに、1人で店を回せるチャーハン専門店の開業を思いつき、準備を進めてきた。

 東さんを奮起させた出来事がもう一つある。人気漫画「中華一番」の作者・小川悦司さんからの激励だ。東さんにとって中華一番は、少年時代から読み込んだ「自分のバイブル」と話すほど思い入れがある作品。オープンを模索する中、作中に出てきたメニューを参考にしたため、店で提供可能かどうかを確認するため出版社を通じて連絡を取った際、小川さんから「頑張ってください」と励ましの言葉を受けた。

 開店に向けて準備を進めていた4月下旬には、中華一番の主人公を描いた色紙と、「開店おめでとうございます。応援してます」と書かれた直筆の手紙が届いた。東さんは「感動した。小川先生のメッセージを受け取り、一気に気持ちが高まった」と振り返る。

 今後は本県産の「天のつぶ」を使用し「爆旨えびちり炒飯」と「秘伝焼肉炒飯」の2商品のみを提供し、今後の状況に応じてメニューを増やしていくつもりだ。東さんは「おいしいチャーハンを提供することで、人々の心の糧になれるような存在になりたい」と気持ちを新たにしている。

 営業時間は午前11時~午後2時半、午後5時~同7時。水曜日定休。1日100食限定でなくなり次第終了する。問い合わせは同店(電話0246・54・3044)へ。

炒飯専門店東や3代目の地図