「福島減塩推進宣言」社会の取り組み促す 初のサミット、情報共有

 

 「健康寿命日本一」を目標に掲げ、日々の食事の塩分を減らす意義や効果的に減塩を進める方策について考える「減塩サミット2019in福島」が22日、福島市で初めて開かれた。専門家や県内外で減塩に取り組む関係者が集い、塩分の過剰摂取がいかに人間の体に悪影響を及ぼすかといった科学的知識や、先進的な取り組みについて情報を共有した。その上で社会全体での減塩の取り組みを促すことなどをうたう「福島減塩推進宣言」をまとめた。

 推進宣言には、減塩の必要性は比較的周知されている一方、なかなか実践されていない実情を踏まえ、積極的な情報発信をうたい、減塩食品の開発や普及を働き掛け、減塩教育を推進していくことなどを盛り込んだ。

 塩分の過剰摂取は血圧上昇の原因となり、高血圧になると心筋梗塞や脳卒中、腎臓病など深刻な病気を発症する可能性が高まる。県民の1日当たりの塩分摂取量(2016年)は男性11.9グラム、女性9.9グラム。日本が各国と比較して多いとされる中、男女とも都道府県別で2番目に多く、男性は8グラム、女性は7グラムに抑えようという国の目標も大きく上回っている。

 約300人が参加したサミットでは福島医大循環器内科学講座の石田隆史教授が基調講演し、生命維持に必要な塩分は1日わずか1.5グラム程度にすぎないことを紹介し、「余分な塩分を取る現代人の習慣はほとんど『中毒』状態であり、改善するのが難しい手ごわい生活習慣だ。一定量以上の塩の摂取は毒であると知ってほしい」と強調。減塩の取り組みを巡って日本が「後進国」である現状を指摘し、塩は本来少ししか必要がないことを特に若い世代に伝えていくべきだと訴えた。

 青森県がん・生活習慣病対策課の中村広美主幹と広南病院(仙台市)の五十嵐祐子栄養管理部室長、福島県食生活改善推進連絡協議会の菅野一代会長が、それぞれ減塩の先進的な取り組みを報告し、石田教授と共にパネル討論に臨んだ。井出孝利副知事が冒頭、県の健康事業を紹介した。

 サミットは福島医大と福島民友新聞社の主催、日本高血圧学会減塩委員会の協力、タニタ、カゴメ東北支店、第一生命保険福島支社の協賛、県などの後援。