「生え変わり障害」 口内観察、骨の検査で予防

 

 新型コロナウイルスの影響もあり、市町村での歯科検診が中止され、子どもたちの口腔(こうくう)内を観察する機会が増えました。そうすると、大人の歯が生える時期になっても生えてこない、本来とは違う場所に生える、顎の骨の中でとどまってしまうなどの萌出(ほうしゅつ)障害が増加していると感じます。顎の骨の狭窄(きょうさく)化、咀嚼(そしゃく)機能の脆弱(ぜいじゃく)化により萌出時期が遅れるため、その割合は増えていると考えられます。

 萌出障害を予防するには注意深くお子さんのお口を観察し、定期的に歯医者さんでエックス線検査により顎の骨の中の状況を評価する必要があります。近年の子どもたちは萌出時期の個人差が大きく、平均より1年以上早く萌出したり、反対に1年以上遅れることも珍しくありません。平均的な萌出時期は、ある程度の目安にし、個人の様子を観察する必要があります。

 萌出障害の目安は〈1〉子どもの歯に動きがなく大人の歯が別の場所から出てきた〈2〉子どもの歯が抜けて3カ月以上しても大人の歯が出てこない〈3〉生え変わり時期を1年過ぎても出てこない〈4〉大人の歯の位置異常が大きい〈5〉大人の歯の萌出の左右差が6カ月以上ある―。このような障害が疑われる場合、骨内の状況確認が必要です。萌出障害は発見が遅れるほど治療が困難になるので、上下4本の前歯が生える頃を目安に歯科医院を受診してみてください。

 (県歯科医師会)