「歯の老化」 年重ね...黄ばみ、すり減り

 

 超高齢社会が進展する中で高齢者の歯の保有数は少しずつ増えています。歯が抜けることはむし歯菌や歯周病菌の感染によるもので、老化現象ではありません。歯の老化現象は色調と形態の変化が特徴です。

 色調は若い時より黄ばみが強くなります。歯の表面に現れる微小亀裂はそれを助長します。一方、形態変化は歯の損耗によるものです。12歳の頃に生えそろった永久歯も、50年以上使い続ければ硬いエナメル質といえどもすり減ります。

 歯の損耗は咬耗(こうもう)症、摩耗症、酸蝕(さんしょく)症に大別されます。咬耗症は前歯の先端と臼歯のかみ合わせ面に生じ、歯の接触面が平らになったり、象牙質まで達すると凹面になります。長年にわたって上下の歯で咀嚼(そしゃく)することによるものです。歯ぎしりや食いしばりの習慣がそれを促すこともあります。摩耗症は歯ブラシを強い力で横磨きすることで歯肉付近に生じるくさび状欠損が代表的です。

 酸蝕症は酸の作用で歯の表面が溶けるものです。クエン酸や酢酸などを含む酸性食品の過剰摂取、神経性過食症の嘔吐(おうと)や胃食道逆流症による胃酸(塩酸)などが原因です。酸蝕症は咬耗・摩耗を促進するため、高度な損耗になることが多いです。歯の損耗には生理的変化から治療を要する病的変化がありますので、慎重な診断が必要です。

 (県歯科医師会)