はしか感染相次ぎ報告 福島医大准教授「不安な人は抗体確認を」
海外からの帰国者や旅行者のはしかの感染報告が国内で相次いでいる。県内での感染は確認されていないが、日本小児感染症学会代議員を務める福島医大医学部小児科学講座の佐藤晶論(まさとき)准教授は、幼少期に2回のワクチン定期接種の重要性を訴えるとともに「抗体を持っているかどうか不安な大人は血液検査で確認してほしい」と呼びかける。
はしかはインフルエンザや新型コロナウイルスよりも感染力が格段に強く、空気感染で広がるためマスク着用や手洗いでは防ぎ切れない面がある。発熱など風邪のような症状が3日ほど続いた後に発疹が出るのが特徴で、発疹が出る前の段階で医療機関を受診し、感染が広がる懸念がある。佐藤氏は「はしかの感染者が身近に発生し、自分も発熱した場合は受診前に医療機関側に伝えてほしい」と語る。
日本は2015年に世界保健機関(WHO)からはしかの「排除状態」と認定されており、はしかの感染は海外からの持ち込み例に限られている。国内のはしか感染者は新型コロナの感染が広がった20年以降は年間数人から数十人程度にとどまっているが、今年は4月の時点で既に20人を超えた。佐藤氏は「コロナの5類移行に伴って海外との往来が戻り、海外から持ち込まれた可能性がある」とみる。ただ一方で「日本人の多くは一定の免疫を持っているので、まだとどまっている」とし、爆発的に増加する可能性は低いと指摘する。
はしかのワクチンは現在、1歳と小学校入学前の2回、定期接種化されている。1972年9月の定期接種化前に生まれた50代以上の人は、ワクチンは打っていないものの、幼少期の流行時に感染していることが多く、免疫があるとみられる。
20代半ば以上となる2000年4月生まれまでの人は、定期接種が1回のみだったため、免疫が十分ではない可能性がある。また、2回接種した人でも10代後半から20歳ごろにかけ、感染を防ぐ高い抗体が減ってくる可能性があるという。ワクチンの接種歴は母子手帳などで確認でき、抗体を持っているかどうか不安な場合は血液検査で確認できるという。
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