登り窯まつり14年ぶり復活 大堀相馬焼、産地再生に確かな手応え

 
14年ぶりの「登り窯まつり」で、窯出しされた作品に見入る来場者=3日、浪江町・陶芸の杜おおぼり

 浪江町大堀地区に伝わる国指定伝統的工芸品「大堀相馬焼」の窯元でつくる大堀相馬焼協同組合は3日、町内の物産会館「陶芸の杜おおぼり」で「登り窯まつり」を14年ぶりに復活させた。まつりは、地域住民の陶芸作品を会館の登り窯で焼き上げることにより大堀相馬焼に親しんでもらう東日本大震災前の恒例行事で、関係者が住民と心をつないだ産地の再生に確かな手応えを感じていた。

 毎年11月に開かれてきた登り窯まつりは、大堀地区が東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域になったことに加え、会館の登り窯が損傷したことにより長く開催できなかった。組合は特定復興再生拠点区域(復興拠点)となった地区の一部で昨年3月末に避難指示が解除され、窯の修復も完了したことから復活を決め、地元の小学生らから作品を集めて4月に窯で焼き上げていた。

 まつり当日の朝には半谷貞辰(ていしん)理事長らが登り窯から約800点の作品を取り出す「窯出し」を行った。作業には地域住民らも立ち会い、作品の出来栄えなどを確認していた。半谷理事長は「(修復して)初めての窯焼きだったので不安もあったが、よく焼けたと思う」と語った。

 まつりは例年5月の展示販売会「大せとまつり」と併せて開催したため、会館に展示された力作に多くの来場者が見入っていた。なみえ創成小2年の佐藤哲慈さん(7)は会場で自分の作品を見つけて「うまくできてうれしい」と笑顔を見せた。

 大せとまつりあすまで開催

 大せとまつりは5日まで陶芸の杜おおぼりで開かれており、7窯元の作品を展示即売している。

 会場には「なみえ焼そば」などの販売ブースも設けられており、3日はお気に入りの焼き物を探すために訪れた人たちが浪江での楽しいひとときを過ごしていた。時間は午前10時~午後3時。問い合わせなどは大堀相馬焼協同組合(電話0240・35・4917)へ。