浪江・津島地区を「リンゴの里」に 山形の企業、実証栽培
東京電力福島第1原発事故による避難指示が一部で解除された浪江町津島地区で6日、リンゴの実証栽培が始まった。手がけるのは、農産物の販売や生産などのマンカウィル東北(山形市)で、2カ所の農地計20アールに140本の苗木を植え、生育状況などを調べる。2026年以降に栽培面積を50ヘクタールにまで拡大し、年間3千トンの生産を目指す。
同社は、寒暖差が大きくリンゴ栽培に適した津島地区に着目。実証栽培後は選果・加工施設の整備により全国出荷も視野に入れており、津島を「リンゴの里」にする計画が始動した。
栽培方法には技術の習得が容易な上、収穫量が多く、作業負担も少ない「高密植栽培」を取り入れる。今回は同社が山形県内で栽培していた「ふじ」「つがる」「シナノスイート」「ぐんま名月」の4品種の苗木計140本を引き抜き、社員ら8人が津島地区の農地2カ所に手作業で移植した。
津島地区を巡っては、一部が特定復興再生拠点区域(復興拠点)として昨年3月末に避難指示が解除された。地元の津島復興組合を中心に農地の保全管理を行うが、営農再開は一部にとどまっているのが現状だ。
同社の農産物生産部門を担うマンカファーム(山形市)の森谷晃嗣ファーム部課長(54)は移植作業に参加し「福島の復興の力になりたい。地域の皆さんと手を組んで取り組みたい」と話した。町の担当者は「津島の営農再開に弾みがつくことに期待したい」と述べた。
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