大熊っ子、元気に新学期 学び舎ゆめの森、新施設ではじまりの式

 
学び舎ゆめの森に入園・入学した子どもたち=8日午前、大熊町大川原地区

 義務教育学校と認定こども園が一体となった大熊町の教育施設「学び舎(や)ゆめの森」で8日、入園・入学式に当たる「はじまりの式」が行われた。昨春に開校したが、施設の完成が昨夏に遅れたため、はじまりの式の会場となったのは初めて。入園児5人と入学児童3人のほか、転入生7人が加わり、計48人の"大熊っ子"が復興へと歩む町に元気な声を響かせる。

 子どもたちの在籍数は、開校初年度が26人で始まった。2年目で2倍近くとなり、今後も町内の住環境整備に伴い増える見込みだ。

 式では南郷市兵園長・校長が「いっぱい遊んで、いっぱい学んで、いっぱい友達をつくろう」とあいさつし、新入学児童に教科書を手渡した。義務教育学校1年の大川愛海(あいみ)さん(6)は「新しい友達ができてうれしい」と話した。真新しいランドセルに教科書を入れて背負ってみると「重くなった」と笑った。

 10日で解除5年

 大熊町は10日、東京電力福島第1原発事故による避難指示が大川原、中屋敷の両地区で2019年に解除されてから、丸5年を迎える。町によると、町内の居住者数は3月1日現在で1156人と推計されており、その多くは大川原地区に住んでいる。

 全町避難した町は、大川原地区を町全体の復興に向けた足掛かりと位置付け、集中的に整備を進めた。町役場新庁舎や公営住宅、診療所などが相次いで建設され、ハード面の整備はおおむね完了した。

 昨春には学び舎ゆめの森が公共施設を間借りして開校。東日本大震災から13年ぶりに町内で教育が再開し、子どもたちの元気な姿が戻った。