【投資はじめました(2)】お金の価値維持へ 物価上昇、適した運用を

 

 一般的な銀行の普通預金の金利は年0.001%。100万円を1年間預けても税引き後の利息はたったの8円だ。好景気に沸いたバブル期には定期預金の金利が年6%以上もあり、銀行に積み立てるだけで資産が増えていった。平成生まれの記者には夢のような時代だが、超低金利の現代では別の道を探すしかない。

 物価の変化にも注意が必要だ。「預金は減ることはありませんが、お金の価値はモノの価値と比べて相対的に下がっています」。東邦銀行本店の窓口を訪れると、営業課の板垣七瀬さん(28)が教えてくれた。

 物価上昇はお金自体の額が変わらなくても、実質的な価値が目減りする。昨年の消費者物価指数は4年ぶりに下落したが、日銀は2%の物価上昇目標を掲げており、今後はプラスに転じるとの見通しを示している。物価が2%上昇した場合、中古車など現在は100万円の品物が5年後には110万4080円を支払わないと、購入できなくなる計算だ。

 お金の価値を維持するには、物価上昇と同水準の金利で資産を運用することが鍵を握る。あらためて投資の必要性に気付かされた。

 そこで板垣さんからまず提案されたのはお金の色分けだ。生活費などは「日常資金」、将来使う目的や時期が決まっている結婚費用やマイホーム購入資金などは「予定資金」、当面使う予定がない貯金は「余裕資金」の3種類に分け、それに適した運用を考える。

 余裕資金は時間をかけてゆっくりと大きく育てられる収益性の高い商品選びがポイントになるという。

 記者も預金口座の残高とにらめっこし、余裕資金を見積もった。5年後、10年後の自分、そして家族のために―。コツコツと蓄え、銀行に眠らせてきた預金を運用する決意が固まった。(鈴木健人)