古関裕而の自筆「久之浜一小校歌」楽譜 校長室の金庫から発見

 
久之浜一小で見つかった古関裕而の自筆符

 いわき市の久之浜一小で、福島市の作曲家古関裕而の自筆符が見つかった。作曲を手掛けた同小の校歌を記したもので、古関裕而記念館(同市)の学芸員によると、筆跡から自筆符で間違いないという。19日には報道陣に公開され、関係者は「地域の宝として住民の皆さんも観覧できる機会をつくりたい」と意気込んだ。

 久之浜一小の校歌は、創立80周年を記念し、1953(昭和28)年に作られた。作曲は古関、作詞は西條八十が手掛けた。地域誌「久之浜通信」によると、同市久之浜町出身で卒業生の歌手霧島昇が、知人から校歌制作の相談を受け、縁のあった西條、古関に協力を仰いだという。霧島が古里の美しい自然や土地柄などを2人に説明し、協力して校歌を生み出したとされる。

 自筆符は長らく行方が分からなくなっていたが、4月下旬ごろ、水沼栄寿校長(55)が校長室の金庫にあった茶封筒から発見した。自筆符には、1番の歌詞と楽譜が書かれており、右下にはローマ字で名前が刻印されている。西條のとみられる作詞の原稿用紙も見つかった。水沼校長は「見つけた時は驚いた。児童には誇りを持って校歌を歌ってほしい」と語った。

 地元の地域づくり協議会の会長を務める阿部忠直さん(74)は、53年の「校歌発表会」に小学2年生で参加した記憶がある。「地域の宝だと思っている。住民にも古関さんらとのつながりを感じてもらいたい」と語った。今後は自筆符のレプリカを作成し、公共施設などで展示する計画が進められる。