【なぜ?減塩】岩手「減塩の日」効果 健康指標向上で他県推進

 

 健康長寿の実現に向け、減塩への取り組みを強めているのは本県だけではない。健康指標が全国平均と比べて低水準にあり危機感を抱く各県は、食塩の摂取量をいかに減らすか、知恵を絞っている。

 青森は「だし活」

 健康づくりに力を入れている青森県は、だしのうま味を生かして毎日の食事の減塩を実現する「だし活」を推進。だし活をPRするダンスもつくり、楽しみながら活動の輪を広げようと工夫を重ねている。脳卒中死亡率の高さが課題だった新潟県は、2009(平成21)年から10年間にわたり、県民運動「にいがた減塩ルネサンス運動」を展開。企業の協力も得ながら減塩を進めた。

 各県それぞれ特徴ある取り組みを進める中、「減塩の日」を定めて活動を展開しているのが岩手県だ。毎月28日を「いわて減塩・適塩の日」としており、この日は県内のスーパーマーケットで減塩商品を紹介するキャンペーンが行われたり、県の施設でのぼり旗を立てるなど、減塩の必要性を伝えるさまざまな取り組みが展開され、県民に定着してきているという。

 10年の日本人の死因別の年齢調整死亡率で、岩手県の脳卒中などの脳血管疾患による死亡率は男女とも都道府県でワースト1位だった。脳卒中は高血圧になると発症する可能性が高まり、塩分の過剰摂取は血圧上昇につながる。「ワースト1」からの脱却を目指し設立された「岩手県脳卒中予防県民会議」と県が減塩の日を制定した。

 問題意識を共有

 その後、かつて全国最多だった岩手県民の食塩摂取量が、全国平均程度まで改善したという。県の担当者は「脳卒中死亡率ワースト1位という衝撃的な結果が、県民が減塩に取り組むための起爆剤となった」と説明する。

 15年の調査で、脳卒中と同様に高血圧が一因となる急性心筋梗塞の死亡率が全国ワースト1位となった本県。こうした健康の状況への問題意識を共有し、県ぐるみの健康づくり活動を進めることができるかが問われている。