「食」「運動」「社会参加」で健康づくり継続的に トップ会談

 
食・運動・社会参加の視点で対談した(右から)細矢センター長、大林さん、内堀知事、西さん=4日午後、福島市

 県内の市町村長らを対象にした「健康長寿ふくしまトップ会談」が4日、福島市で開かれた。内堀雅雄知事は、特定健診でメタボリック症候群に該当した県民の割合(メタボ率)が毎年、過去最悪を更新するなど悪化する健康指標について、県民に「健康づくりは無理をしても続かない。食、運動、社会参加の三つの分野で、こつこつと続けていくことが重要だ」と継続的な健康づくりを呼び掛けた。

 県や福島民友新聞社などでつくる官民一体の健康推進組織「健康長寿ふくしま会議」の企画。会議の会長を務める内堀知事、サッカー日本代表帯同シェフの西芳照さん、バレーボール元日本代表のタレント大林素子さん、福島医大の細矢光亮健康増進センター長が「今こそ取り組む健康づくり~食・運動・社会参加の視点で」をテーマに意見交換した。

 本県の健康に関する指標を巡っては、メタボ率(2019年度)が18.4%に上り、全国ワースト4位となった。細矢氏によると、県内では男女ともに血圧が高く、喫煙率も全国の水準を上回っている。細矢氏は「全国と比べ総じて高い」と危機感を示し「自分の健康に興味を持ち、知ることが大事だ」と訴えた。大林さんは「あえてワーストであることを発信していき、一緒に改善していくことが大切だ」と提案した。

 内堀知事は市町村長に対し「リーダー自身が地域の実情に気付き、多くの人に伝えることが健康づくりの一歩だ」と語った。その上で「住民の健康づくりの場に顔を出し、住民を褒めてほしい。互いに笑顔で取り組むことが大切だ」と述べた。
 また、大林さんは「(健康につながるような)新たなご当地食を発掘したらどうか」と食を通じた健康づくりを呼び掛けた。西さんはシェフの立場から健康的な食の大切さを解説。特に「保護者への食育も重要」と語り、授業参観などの機会に保護者に食の大切を伝える事業の実施を求めた。

 会談の様子は動画投稿サイトのユーチューブで配信された。14日まで録画配信される。

 内堀雅雄知事、実は「メタボ」食で改善

 本県は「メタボ率」が全国ワースト4位。大事なことは日々の取り組みだ。この1年半、食と運動を大事した。実は昨年までずっとメタボだったが、食をコントロールし、運動をしたらメタボから外れた。健康づくりを「今こそやろう」との思いを共有したい。

 行動のためのキーワードは「気付き」と「無意識」。スーパーマーケットで(行った試験で)総菜の塩分を減らしてもおいしさは変わらない結果が出た。無意識に減塩コントロールができていた。いつの間にか健康へ誘導できる。リーダーが伝えることが健康づくりの第一歩だ。

 西芳照さん、保護者への食育が大事

 サッカー日本代表の中でも30歳を超える選手は食事に気を使っている。緑黄色野菜は、食事になくてはならない。代表選手でも小さい頃からの習慣が、大人になっても続いている。大事なのは保護者への食育だ。父母に対し、食の大切さを伝えることを今後の事業としてやってほしい。
 食事以外では、スポーツの機会が減っている。いわきFCや福島ユナイテッドFCがいろんなことをしているが、もっと参加してもらい、健民アプリでポイントを付けるなど、少しでも県民が健康の大切さに気付く機会を広げてもらいたい。

 大林素子さん、野菜から食べる習慣を

 現役時代は出されるもの以外は口にせず管理されていたので、苦労せずに体をつくれていた。引退して思うのは、自分でいかにコントロールすることが大事かということ。野菜から食べることは習慣になっている。これが男性、大人、子どもを含めて習慣になればいい。

 今こそ動きださないといけない。健康指標のワーストなど不名誉を出していくことが大事。あえて「やばいよ」を出して危機感を持ち、共に闘うことが重要だ。アスリートとして、子どもたちだけではなく、大人も気軽にできる運動の企画に積極的に関わりたい。

 細矢光亮氏、バランスの良い食事に

 福島県は全国平均と比べて肥満割合や腹囲、中性脂肪、喫煙者が高い傾向にある。自分の健康にまず興味を持ち、どこが悪く、どう改善するのかを自分で知って行動に移すことが大事だ。生活習慣は子どもの時に身に付く。大人になってからではなかなか改善できないので、大人が子どもの健康を考えてほしい。

 喫煙や飲酒、食事、食塩など健康長寿県の実現へ10の提言がある。食事ではバランスの良い食事が基本だ。提言を参考に問題点に気付き、一人一人が新たな生活習慣を継続することが健康寿命の延伸につながる。