日本の医療放射線は多い

 

 私たちの周りにはさまざまな天然の放射性物質が存在し、そこからある程度の量の放射線を私たちは日常的に受けています。放射線の量は場所ごと国ごとによって異なり、外部被ばくと内部被ばく合わせて、自然界から日本国内の私たちが受ける放射線の量は、世界平均よりもやや少ない傾向にあります。

 その一方、日本での医療上の診断や治療で受ける放射線の量は、世界的に多いです。個人差が大きいものの、日本では平均すると自然界から受ける放射線の量の約2倍、放射線検査によって放射線を受けています。

 放射線検査にも外部被ばくと内部被ばくに関わる検査があります。

 健康診断などでなじみのある胸などの一般的なレントゲン検査に加え、身体を輪切りにするCT検査、胃のバリウム検査のような透視検査(連続で放射線を使ってリアルタイムに身体の中を調べる検査)、歯医者さんでのレントゲン検査、乳房専用のレントゲン検査であるマンモグラフィーなどは外部被ばくに関わる検査です。

 その一方、放射線を出す医薬品を身体の中に注射して、身体から出てくる放射線を身体の外で感知し、心臓や骨などの臓器の機能を調べる核医学検査(シンチグラフィー)や、がんの大きさや炎症の病巣を調べるためのPET検査は内部被ばくに関わる検査になります。

 引き続き、放射線に関する基礎的な話をご紹介していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

(福島医大放射線健康管理学講座主任教授・坪倉正治)