健康影響は非常に小さい

 

 原発事故によってできた燃料デブリを冷やすために使われた水が、さまざまな種類の放射性物質を含んだ「汚染水」となります。加えて、雨水や地下水が原発の建物の中に入り込み「汚染水」と混ざり合うことで、新たな「汚染水」が発生します。

 「処理水」は、この「汚染水」を、複数の設備で浄化した後、敷地内のタンクに保管している水のことです。トリチウムは取り除くことが困難な一方、セシウムやストロンチウムなど、トリチウム以外の多くの放射性物質全てを規制基準以下まで浄化したものになります。

 先日、1回目の放出が終了しています。その放出前のタンクの処理水は、もし毎日2リットルずつ1年間、その処理水を飲んだとして、トリチウムからの影響がおおよそ2・3ミリシーベルト、トリチウム以外のさまざまな放射性物質の影響がその10分の1である、0・28ミリシーベルトとなると計測されていました。

 放出前には、この処理水がさらに740倍に薄められました。計算上は、トリチウムからの影響は毎日2リットルずつ飲んだとして、0・003ミリシーベルト程度のリスクになります。トリチウム以外の影響はさらにその10分の1です。そして、これが福島第1原発から1キロ離れた場所で放出され、海の中でさらに薄まりました。

 さまざまな検査が継続されることはもちろん必要ですが、現状ではこの放出による私たちの身体の健康に対する影響は非常に小さいということができます。