参院選、生活救う1票に 「住宅が高騰」「部品なく生産停滞」

 
参院選が公示され、遊説会場に集まった有権者ら=22日

 22日に公示された参院選は、物価高騰や円安、ロシアのウクライナ侵攻、新型コロナウイルスの影響などが渦巻く中での選挙戦となりそうだ。日常生活に及ぶ課題が多い上、本県にとっては東日本大震災からの復興なども欠かすことができない重要なテーマとなる。有権者は何に期待し、1票を託すのか。

 「部品高騰や円安が進み、海外からの部品が集まらず、生産が進まない」。喜多方市で音響・通信機器の製造を手がける会社代表の慶徳孝幸さん(63)は切実な声を上げる。

 海外からの輸入に頼る半導体不足が大きな悩みの種だ。慶徳さんは「今は有事の政策が求められている。法人税の減額、雇用確保に向けた助成金の期間延長などの政策が必要だ」と訴える。

 建設業も資材高騰の影響を受ける。建築会社に勤める棚倉町の会社役員穂積孝之さん(45)は「資材が高騰し、住宅の値段が上がっている」とし、「住宅が求めやすくなる補助金を新設するなど、国としても手だてを検討してほしい」と求める。

 ロシアのウクライナ侵攻は物価高騰の一因となっている。いわき市で飲食店の店主を務める山越礼士さん(47)は「今回のウクライナ侵攻により、紛争や戦争が身近なところまで影響することがよく分かった。国防や食料安全保障について考え、納得できる人に投票したい」と話した。

 新型コロナの影響は長引き、出口は不透明だ。「世の中は新型コロナが収まりつつあるとの雰囲気だか、医療現場の負担はまだまだ大きい」。伊達市の看護師佐藤愛望(めぐみ)さん(31)は現状を明かす。新型コロナ対応により、医療現場では人手不足が課題だ。「安心な地域医療を提供するために、病児保育や待遇の底上げなど医療従事者に寄り添った政策を」と望む。

 震災や原発事故からの復興に向けて歩む本県。農林水産業の振興は欠かすことができない。「原発事故からの漁業復興を後押しする施策を望む」。相馬双葉漁協原釜地区青壮年部長の石橋正裕さん(42)はこう話す。処理水の海洋放出については「操業に向けて取り組む漁業の足かせになる」と懸念。国が打ち出す風評対策について「ニーズに合ったものにしてほしい」と注文する。

 会津美里町の農家吉田信也さん(46)は「政府が主体となって地産地消を進めてほしい。農業が安定した職業の選択肢の一つとして選ばれるようになってほしい」と話した。

 地方振興への思いを託そうとする若者もいる。福島大行政政策学類1年の井上桜さん(18)=福島市=は今回の参院選で人生初の1票を投じる。「各候補者の公約などを詳しく調べ、より地域に寄り添った政策を掲げている人に投票したい」と話した。