(9)おばあちゃんになっても 帰る場所はここにある

 
いわきおどりに参加した大熊町のチームのみんなと。踊るのは苦手です。リズムや手と足の動き方を覚えるまで時間がかかりました。でも、みんなと踊るのは楽しかったです。私がどこにいるか分かりますか?

 Bonjour、またエミリーです!

 先月のコラムで「農業をやって木苺(きいちご)を育てたい」と書きました。ある人に「農地を借りたいのはどのぐらいの期間?」と聞かれ「20年、30年、おばあちゃんになるまで!」と答えたら、相手がびっくりしていました。

 おばあちゃんになるまで農業をしたい、ということに驚いたのではなく、私がずっと日本にいるつもりでいる、ということが意外だったみたいです。

 ん~、なるほど! 私は、少しの間、福島に住んで、いずれ自分の国に帰るのだろうと思われているのかもしれませんね。

 実は、日本に住み始めた時はフランスに帰りたかったです。この気持ちは3、4年ぐらい残っていました。そして、いつの間にか日本語で夢を見て、フランスのユーモアで笑えなくなって、日本にいるのが当たり前になりました。

 東京と横浜にいた頃、フランス人などいろいろな外国人に会いました。11年後の今、ほとんどみんな自分の国に帰りました。SNSでつながっている友達がいますが、なかなか会えないだろうな、と思っています。

 仕事や家族の影響もあるし、外国に住むのは簡単なことではないです。特に、フランスと日本の社会は結構違うので、慣れない人や、日本のやり方に考えが合わない人もよくいました。私も、日本のことでまだ理解できない、違う、と思うところがたくさんあります。ですが、あまり怒らないタイプなので、悪い気持ちはパワーにリサイクルします!

 違うな、と思うなら、何かすればいいんです。私は自然、エコロジー(自然環境保全)が大切なので、リサイクルしたパワーで、先月お話しした、自然と調和した農業「パーマカルチャー」をやりたい。「日本ではパーマカルチャーが少ない? なるほど。じゃあ福島からパーマカルチャーを広げましょう」ってことです。人生は1回だけ。やりたいことをやるチャンスは二度とないので、ゴーゴーゴー!

 農業の話からつながりができて、8月に行われた「いわきおどり」で大熊町チームと一緒に参加しました。すごいことがどんどん起きています。

 つらい時もありますが、私は福島に来て心が落ち着きました。会津に行く時は故郷に帰る感じがします。1年間しか住んでいませんが、とてもあたたかい場所になりました。もしフランスに帰っていたら、今の私の世界は違っていたでしょう。でも、今のままでいいと思います。おばあちゃんになっても、私はまだコラムを書いてるかな? 日本語を頑張らないと!

バーベキュー先月会津に帰った時に、面白いバーベキューが待っていました。タマネギの隣は、肉? 違います! ジャガイモです

鎌倉のアジサイ毎年フランス人の友達と見に行った鎌倉のアジサイ。大切な思い出です

 エミリー イラストレーター。東京などで語学講師として活動し、2021年2月から県内に移住。趣味は散歩。猫好き。自身のサイト「メリエマリス」で、赤べこのイラストや県内スポットの紹介文とイラストマップなどを公開。オリジナルグッズも多数展開中。