【これって方言だったの!?】「うるかす」伝わらず驚き

 

 県内の食文化や風習などを深掘りする「ココほれ!ふくしま」、今年もよろしくお願いします。新年初回の「ココほれ」は、共通語だと思って使ったけれど、伝わらず「これって方言だったの!?」と驚いたエピソードを紹介する。

 今回も読者とふくしまFM「福空間~フクスペース~」リスナーから情報を募集し、多くのお便りをいただいた。その中で最も多く寄せられた「方言だと思わなかった言葉」ナンバーワンは「うるかす」だった。「水に漬けておく」という意味で、「食べ終わった食器はうるかしておいてね」などと使う。ほかにも、といだ米を水に漬けておくことや、仕事などに手を付けずそのまま放っておくことも意味する。

 この言葉、方言辞典などによると、県内だけでなく北海道や東北各地で広く使われている。そのため、方言だと気付かない人が多いようだ。

 ほかにも、疲れたという意味の「こわい」や、ごみなどを捨てる意味の「投げる」などが多く寄せられた。

 危うく誤解

 標準語と方言で意味が変わってしまい、危うく誤解されそうになった人も。

 本来は接続詞の「だから」を、相づちや同意、共感の意味で使う地域もある。「メールに『そう、そう!』という同意のつもりで『だから』と書いたら、否定や突き放した感じに受け取られそうになった」(会津若松市)。この場合の「だから」の用法は、最近の若者言葉の「それな」と同じ?

 意味を知ると使ってみたくなる方言も。

 「私の周りでは、飴(あめ)の表面が溶けてべたついた状態を『飴がないてる』と言います。隣県の友人に『ちょっとないてるけど』と飴を渡した時『え?』『ん?』『ないてる?』『ちょっとね』『...』というやり取りになり、方言だったのか!と気付きました」(会津美里町)。「なく」は同辞典では新潟の方言として紹介されており、投稿者の居住地からも、新潟から会津地方で使われていると推測できる。

 「『もうすぐ』という意味で「だんだん着くよ」と他の地方の友達に言ったら通じなかった。そのことを地元の友人に話すと、みんな『方言だったの!?』と驚きます」(会津若松市)。

 「関東圏から来た機械の修理屋さんに『急にぼっこれてあっぱとっぱしちゃった(急に壊れて慌てた)』って言ったら通じませんでした」(石川町)。意味を知らなくても語感から慌てている様子が伝わってくる。

 替え利かぬ言葉

 「県外の大学に行った時『このリンゴ、みそだね』と何げなく言ったら『えっ、リンゴがみそに!? アメージング!』と驚かれた」(福島市)。リンゴなどが「みそになる」とは、シャキシャキとした歯応えやみずみずしさがなく、ぼそぼそした感じになったことを表す言葉だ。

 しかし、「みそになる」も「うるかす」も「飴がなく」も共通語で端的に言い換えようとしても、しっくりくる言葉が見つからない。替えが利かない便利な言葉だからこそ、広く使われ続けているのだろう。

 次回は続編として、意味が分からなくて困った方言のエピソードを紹介する。(佐藤香)