発酵パワーで健康に やまさ味噌こうじ店(矢吹町)佐藤大義さん

 
「添加物に頼らない商品づくりを続けたい」と語る佐藤さん

 矢吹町にある創業70年の老舗「やまさ味噌(みそ)こうじ店」の3代目、佐藤大義(たいぎ)さん(40)は伝統の味を守りながら、新たな商品開発を進めるなど新風を吹き込む。「こうじは日本人に根付いた文化。添加物に頼らない商品づくりを続けたい」と思いを語る。

 仕込み、最後は感覚

 2022年10月に個人経営だった店を株式会社とし、佐藤さんが社長に就いた。職人の感覚に頼ったみその作り方をマニュアル化し、こうじをふかす際に使用する室(むろ)の温度をセンサーで管理するなど数値化にも取り組んでいる。だが気候などの影響で仕込み具合は変わるため、「いくら数値化しても、最後は感覚に頼る部分もある」と話す。

 国産大豆を使用した「あゆりの味噌」が人気で、町内外から多くの客が訪れ、キロ単位で買い求める。佐藤さんが開発した商品はドレッシングや生甘酒など多種多様で、最近は郡山市の和食屋「和伊んや」と一緒に国産熟成豚や麓山高原豚を使ったみそ漬けも開発した。「みその消費が落ち込む中、みそ以外でも気軽に手に取ってくれるような商品を提供したい」と意気込む。

 初代の教え支えに

 思った以上の重労働で過酷さを知り、体を鍛えようとジョギングにも取り組んでいる。みその仕込み方などが記され、亡くなった初代の祖父から受け継いだノートを心の支えに「発酵食品は健康に良い。うちの商品を食べた方が健康になってくれるとうれしい」と夢を語る。 (水野智史)