会津の農産物でスイーツ カフェ・分家玉や(下郷町)、佐藤華那さん

 
佐藤さんは「お菓子を通して農産物の魅力を発信していきたい」と話す

 国の重要伝統的建造物群保存地区「大内宿」(下郷町)で、カフェ「分家玉や」を営む佐藤華那さん(36)は地元農産物を活用したスイーツを提供している。「お菓子を通して、会津産農産物の魅力を発信していきたい」と目標を掲げる。

 東京で学んで帰郷

 佐藤さんは大内宿生まれ。かやぶき屋根の伝統的な住環境の中で育った。高校卒業後、東京の製菓専門学校で学び、洋菓子店に就職した。分家玉やは25年前、佐藤さんの両親が食堂としてオープンし、そば料理やご飯ものを提供していた。

 長女である佐藤さんは「家業を継ぐ意識は持っていた」という。21歳で帰郷し、食堂を手伝うことになった。当初は食後のデザートとして、地場産カボチャを使ったプリンなど、スイーツを1~2品付けていた。次第にデザートだけを求める人も増え、5年前にカフェにとして新たな1歩を踏み出した。「大内宿は食事処が多いので、お昼時以外にも楽しんでもらえる場所にしたかった」と話す。

 焼き菓子や生菓子など、多彩なスイーツを用意している。秋にはモンブラン、夏にはモモのパフェ、春はイチゴ、冬は干し柿を使った商品など、四季折々の農産物を活用するのが特長だ。

 大内宿の景観守る

 佐藤さんは「大内宿は観光するところで、住んでいないと思っている人も多い」と指摘する。大内宿で大切にされてきた景観を守るため、知り合いの農家と連携し、遊休農地解消に向けた事業に取り組んでいる。収穫米をクッキーやロールケーキの生地に使うなどしている。「都会からのお客さんには、自然豊かな環境で、ゆったりとした時間を過ごしてほしい。大内宿での暮らしや伝統を維持するために頑張りたい」と話す。(富山和明)