伝統の糀使いチャレンジ 糀和田屋(本宮市)、三瓶正人さん

 
「福島の食の魅力をこうじ文化で発信したい」と意気込む三瓶さん

 「糀(こうじ)は古くから日本の食文化を支えてきた。時代に合わせた商品開発に挑戦し、福島の食の良さを広げていきたい」。地元の穀物を使ってこうじやしょうゆ、みそなどを製造する本宮市の糀和田屋の10代目、三瓶正人さん(56)は伝統の継承と新商品開発で、国内外にこうじ文化の魅力を発信している。

 250年以上の歴史

 250年以上の歴史を誇る老舗だが、こうじ造りは今も変わらない。伝統の糀蓋(ぶた)製法は、湿度や温度を一定に保ちながら、数時間ごとに手作業でこうじを混ぜ、状態を確認する。三瓶さんは「糀室に入れたら、3日間は作業が続く。汗だくになろうとも、手作業で時間をかけて向き合うことで良いこうじができる」と語る。

 自慢のこうじやみそ、しょうゆのほかに、こうじを使った甘酒、中華まん、塩こうじのアイスクリームなどの新商品開発に積極的に取り組む。特に県産のモモなどを使った甘酒シリーズは、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で苦境に立つ農家を支援するために開発したものだ。三瓶さんは「こうじは免疫力が高まると注目されてきた。飲みやすい甘酒に県産農作物などを加え、福島の食の良さを訴えたかった」と振り返る。

 海外へ魅力発信

 三瓶さんは海外の販路開拓にも力を入れており、仏、独、英、米など世界各国にファンがいる。三瓶さんは「日本人が中心だが、着実に海外の人からの注文も増えている。こうじ文化から日本食の魅力を発信し、健康づくりに貢献したい」と笑顔を見せた。(斎藤優樹)