【#311jp・地方紙協働企画】処理水放出後の福島県産品購入、「気にしない」半数超え

 

 福島民友新聞社「みんゆう特命係(ゆう特)」など読者とつながる報道に取り組む全国20の地方紙による2024年の合同アンケートで、東京電力福島第1原発から処理水の海洋放出後、本県産品の購入について尋ねると「気にしない」との声が半数を超えた。

 昨年8月に始まった処理水の海洋放出に関連し、本県の1次産品購入について質問した。結果は【グラフ(上)】の通り。「あまり気にならない」「全く気にならない」の合計が51.2%で半数を超え、「とても気になる」「少し気になる」を合わせた33.5%を上回った。ただ、本県では「気にならない」の合計が69.0%に達した一方、京都府では51.0%、愛知県で48.2%、福岡県で44.8%にとどまるなど、地域差が見られた。

 海洋放出の前に実施した昨年のアンケートでは、放出への賛否は反対が賛成を少し上回り、ほぼ拮抗(きっこう)していた。

 今後の原発政策の在り方についても聞いた。選択肢は21~23年の3年間と同じで、23年までは物価高などを背景に原発活用を容認する回答が増えていたが、減少に転じた。結果は【グラフ(下)】の通り。

 24年は「積極的に廃炉とし、脱原発を急ぐべきだ」が最多の31.6%で「すぐにでも全国的に廃炉とすべきだ」を加えた「脱原発」層は計44.1%。これに対し「運転延長は控え、基数を減らしながら活用」を含む原発活用を容認する回答は計48.0%だった。参考値として23年と比較すると脱原発は8.4ポイント増え、容認は8.6ポイント減った。

 23年はロシアによるウクライナ侵攻などに伴うエネルギー価格の高騰を背景に原発容認が増加した。24年は1月に能登半島地震が発生。今回のアンケートでは「福島第1原発事故を想起した」という声が少なくなく、脱原発の意見が増えた一因とみられる。

 「分からない」はこれまでで最多の7.9%。原発を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、活用の是非について結論を出しづらくなっている傾向もにじんだ。

 アンケートは、各紙が2月、通信アプリ「LINE(ライン)」や紙面などで呼びかけ、47都道府県と海外から計4681件の回答があった。

 震災10年を迎えた21年から取り組む協働企画「#311jp」の一環で「オンデマンド調査報道(JOD)」パートナーシップの加盟社で実施した。

 20紙=福島民友、岩手日報、河北新報、秋田魁新報、福島民報、下野新聞、新潟日報、北陸中日新聞、福井新聞、信濃毎日新聞、静岡新聞、中日新聞、京都新聞、愛媛新聞、高知新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、琉球新報、日本農業新聞