【5月5日付編集日記】昆虫

 

 子どもの頃は平気だったのに、大人になったら虫を触れなくなった。セミやカブトムシ、イナゴ、トンボなど、あらゆる虫を捕まえては虫かごに入れて眺めていたのに

 ▼虫が大好きな解剖学者で、須賀川市のムシテックワールド名誉館長の養老孟司さんが聞いたら残念に思うだろうか。養老さんは同施設のサイトに「子どもが虫に関心を持つと元気に育つ」などとメッセージを寄せている。虫捕りを通し、子どもはたくさんのことを自然から学んでいるという

 ▼震災と原発事故からの復興応援として2012年から、自分で育てたオオクワガタの幼虫や成虫、飼育ボトルなどをムシテックワールドに寄贈し続けている男性がいる。大阪府の元木弘英さんがその人だ

 ▼動機は「福島の子どもたちに喜んでほしい」とシンプル。年に数回、寄贈しているというから、元木さんの熱意は相当だ。幼虫などは飼育講座に参加した子どもたちにプレゼントされ、虫に親しむ機会となっている

 ▼それにしても、なぜ幼虫が全く形の違う成虫になるのか、養老さんでも分からないことが多いらしい。きょうはこどもの日。子どもと一緒に大人も昆虫や自然に目を向け、新たな発見や謎解きを楽しんでみては。