「最強」高田...攻め抜いた 全中駅伝2位、最後まで頂点諦めず

 
県勢初の準優勝を果たした男子の高田=滋賀県野洲市・希望が丘文化公園

 「優勝以外眼中になかったが、県最高順位は誇らしい」。滋賀県野洲市の希望が丘文化公園で19日に開かれた第29回全国中学校駅伝大会。関係者に「100年に1度」と言わしめた"史上最強"の布陣で臨んだ男子の高田(会津美里町)は、2度目の全国出場で準優勝の座を射止めた。目指していたのは「全国一」だっただけに悔しさもにじませたが、涙の後にははじける笑顔が広がった。

 新型コロナウイルス感染拡大で全国大会が中止となった昨年は、当時2年生だった今回のメンバーを中心に県大会を制し、今年の全国制覇に照準を合わせてきた。

 全員が3キロ8分台で走ることを目標に日々練習を積み重ね、今年の県大会では県最高記録を更新して3連覇を達成。さらに記録を塗り替えて頂点に立った東北大会では3区間で区間賞を獲得、波に乗って滋賀に乗り込んだ。

 全校生徒約200人の中から集まった部員のほとんどは元々、駅伝部専従ではなくサッカーや野球など他の部活動とのかけ持ち。各部活を引退し、昨年11月に駅伝部として本格始動すると、部員たちはめきめきと力をつけてきた。

 明るく元気で個性豊かなメンバーがそろい、練習は冗談が飛び交う楽しい雰囲気。鈴木瑛太選手(3年)は「ふざけあっていてもやるときはやる。納豆のような粘りがチームの持ち味」と話す。

 強さの原点は、雪国会津の厳しさと、周辺の練習環境にある。選手たちが毎朝欠かさず走り込む会津美里町八木沢地区の通称「八木沢ロード」は起伏が激しく、心肺機能を高めるには最適なコース。夏場は1日に20キロ走り、冬場は猛吹雪の中の練習にも耐え、悪天候や高低差にも負けないスタミナを培ってきた。

 10月からは全国大会のコースとなる芝生対策としてゴルフ場などにも足しげく通い、本番に備えた。各地から集まる強豪と実力が拮抗(きっこう)する中で、勝負の鍵となる精神面や健康面でも大きく成長。「家の手伝いをする」「ご飯を大盛り食べる」など10項目の約束事を監督と交わしたことで、自分を変えようと自ら考えて行動し、支えてくれる家族に感謝を伝えるようになった。

 選手たちの白い帽子のつばには、監督の直筆で「あきらめたら終わり」の文字。ぬかるんだ芝生で思うような走りができなくても果敢に攻め続け、誰一人として最後まで頂点を諦めなかった。「このメンバーだからこそ結果を残すことができた」と主将の猪股秀哉選手(3年)。個性派ぞろいの精鋭たちは、全国に高田の名をとどろかせた。

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