放射線の影響「量」が問題

 

 この数カ月、新型コロナウイルス感染症を扱っていましたが、放射線に話題を戻します。これまでに放射線について紹介した内容を振り返り、大事なことを繰り返し紹介したいと思います。

 放射線による身体への影響の中には、髪の毛が抜けたり、血が止まりづらくなったり、下痢ややけどをしたりといったものがあります。ただこれらの症状は、数多くの細胞が傷つくような大量(数百ミリシーベルト以上)の放射線を浴びる際に、初めて起こります。大量に放射線を浴びると誰であれ「必ず(確定的に)」起こるために「確定的影響」と呼ばれます。

 その逆に、一定量(数百ミリシーベルト)以下の放射線では「誰にも」起こりません。CTやレントゲンを撮ったとして、誰も下痢になりませんし、やけども髪の毛が抜けたりもしません。

 放射線による身体への影響はその浴びた「量」の問題です。今回の原発事故に伴って、私たちの日常生活で浴びるかもしれない放射線の量は、数百ミリシーベルトに比べて桁違いに低いです。そのため、私たちの日常生活で、前記のような鼻血・下痢・やけど・脱毛といった放射線による「確定的影響」が起こることはありません。避難指示が解除された地域であっても同様です。