骨のがんを放射線で攻撃

 

 甲状腺乳頭がんの治療の基本は手術ですが、その手術後に行う治療として、放射性ヨウ素を含んだカプセルを飲むという方法があります。取り込まれた放射性ヨウ素が、甲状腺がんに集まり、そこで放射線をがん細胞に浴びせます。

 この治療は、身体に入った放射性ヨウ素が、甲状腺がんに取り込まれて集まりやすいことを利用しています。

 同じような仕組みを使った治療法として、男性ホルモンを抑える治療が効きづらくなった前立腺がんが、骨に転移した際に行われる放射性ラジウム治療があります。

 このラジウム―223は骨の成分であるカルシウムと同じように、骨に集まりやすい性質を持っています。そのため、ラジウム―223が血液中に投与されると、代謝の活発になったがん細胞がいる骨に集まります。そこで放射線を浴びせてがん細胞を攻撃し、骨転移に伴う症状を抑えます。

 その一方、この治療はラジウムが骨に集まりやすい性質を利用しているため、前立腺自体や、リンパ節転移に治療薬が集まるわけでは無く、その部位での治療効果は望めません。

 甲状腺がんや前立腺がんの他にも、血液がんの一種である悪性リンパ腫などでもこれと同じような治療法が存在します。