違う意見、聞こえぬネット

 

 原発事故や放射線に関することについて、これまでさまざまなメディアでの発信が行われました。テレビや新聞・雑誌だけではなく、インターネットやSNS(会員制交流サイト)での発信も多いです。それぞれのメディアは、情報の発信について長所と短所を持っています。インターネットやSNSといったメディアの特徴を知ることは、さまざまに飛び交う情報をしっかりそしゃくして前に進むために重要です。

 インターネットの特徴の一つとして、エコーチェンバー現象というものがあります。

 聞き慣れないですが、エコーとは「やまびこ・こだま」、チェンバーとは閉じられた「部屋」という意味です。閉じられた静かな部屋の中で、壁に向かって何かを叫ぶことを想像してみてください。その声はこだまし、自分の声だけではなくて、こだました声も聞こえてきて、あたかも、周りのあちらこちらから、自分の発したことと同じことがたくさん聞こえてくるという状態になります。自身の同じ声が増幅され、違う声がかき消されてしまうのです。

 インターネットの世界では、このエコーチェンバーが起こりやすいことが言われています。インターネット上のエコーチェンバーの中に知らないうちに入り込んでしまうと、周りに自分と違う意見の人がいないように見え、自分の信念が「正しい」と、より強固になってしまいやすいのです。