陽子、塊にできず一部外へ

 

 全ての物質(原子)は「陽子・中性子・電子」の粒が何個かずつ集まってできています。それぞれの物質(原子)の中心には、陽子と中性子が固まった原子核があり、その周りを電子が回っています。

 原子核は陽子と中性子でできています。陽子と陽子は電気のプラス同士のため、そのまま近づくとお互いに反発し、原子核はバラバラになってしまいます。その構造を保つため、陽子と中性子を無理やりくっつける、のりのような役割の力が原子核には存在します。これを「核力」と言いました。

 もう少し細かく言うと、原子核にはプラスの電気を持つ陽子が何個も集まっています。それらはお互いにプラス同士なので反発します。それらの間に中性子があり、のりのような力が働くことで、陽子と中性子の塊をつなぎ留めているのです。

 その一方、水素は陽子が一つ、炭素は陽子が六つ、酸素は陽子が八つというように、物質の種類は陽子の個数によって決まります。陽子の個数がたくさんになるほど、それらの反発を抑え込むために、よりたくさんの中性子が必要になっていきます。例えばウラン238であれば、陽子が92個、中性子が146個あります。

 陽子や中性子の個数のバランスが悪いとその物質は不安定になり、これを放射性物質と呼びました。陽子の個数があまりに増えてくると、お互いの反発を抑え込んで、一つの塊にするのが難しくなり、一部は外に吐き出してしまう。これが放射性物質の正体です。