ひとり親家庭の声、どう響く 参院選、長期的な支援必要
長引くコロナ禍で、低所得者たちの生活がますます苦しくなっている。特に県内で増加傾向にあるひとり親家庭は深刻だ。「食べていくのも大変な状況にある」。生活苦を訴える声は、参院選の候補者にどう響くのか。
「1人の収入で生活していくことを考えると不安です」。会津若松市で小学生の子どもと暮らす女性(40)はわが子を見つめ、心境を打ち明ける。
女性は夫からの暴力がきっかけで10年前に離婚。人間関係や体調の問題で仕事は長く続かず、現在は土地を借りて自給自足の生活をしながら、職を探している。
毎月の収入は元夫からの養育費や自治体からの手当など17万円程度。支出は、子どもの教育費など全体で16万円近くになる。食費を浮かすために見切り品を購入したり、貯金を切り崩したりしている。「先のことを考えると、生活の重みがあってなかなか前向きになれない」
ひとり親の支援を行うNPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむ(東京都)が3月、支援している約2400人を対象に行った調査によると、コロナの第6波で感染者が急増した2月のひとり親世帯の平均月収は約14万円。学校の休校で子どもの面倒を見るために休職や時短勤務を余儀なくされるなど、感染拡大で仕事に影響が出たという人は全体の約4割に上った。
こうした状況を受け、国や自治体はひとり親世帯支援のため給付金を支給している。ただ、会津若松市でひとり親支援などに取り組むNPO法人寺子屋方丈舎理事長の江川和弥さん(58)は「給付金は一時的なもの。長期的な支援がないと苦しいのでは」と疑問を口にする。
県によると、2020年の県内のひとり親世帯は約7万3300世帯で、全体の9.9%。10年前より約4400世帯増え、割合も0.3ポイント上昇した。江川さんは「今まで以上に支援が必要」と危機感をあらわにする。
川内村は16年に独自の施策「ひとり親世帯移住促進奨励金」を創設した。21年度で新規受け付けを終了し、これまでに13世帯31人(子ども含む)が制度を利用して村に移り住んでいる。
村への定着をサポートしようと、むらづくり会社「かわうちラボ」は3月、ひとり親世帯対象の交流会を初めて開いた。担当者は「正社員などの安定した仕事を求める相談や、子どもが学校に通うための交通費、寮費への補助を求める声があった」と明かす。
同社は村内の求人を掘り起こし、ひとり親世帯の母親とマッチングさせるなどの支援を続けてきた。ただ、現場の行政や支援団体の力には限りがある。担当者はこう訴える。「国がひとり親世帯の移住などを後押しする制度をつくれば、のんびりした地域で子育てできるような環境も整うのではないか。移住してきてもらえば地域も助かる」
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