地域医療充実は責務 福島選挙区当選・星北斗氏に聞く

 
 ほし・ほくと 郡山市出身。東邦大医卒。厚生省(現厚生労働省)に医系技官として入省、ハーバード大公衆衛生大学院客員研究員などを務め現在は星総合病院理事長。県医師会では常任理事を経て副会長を7年務め、新型コロナウイルス対策などを担当。2013年から約9年間、県民健康調査検討委員会の座長を務めた。

 参院選福島選挙区で初当選を果たした自民新人の星北斗氏(58)は福島民友新聞社のインタビューに「福島の未来のため、山積する課題に全身全霊をかけて取り組む」と述べ、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の加速や人口減少対策に取り組む決意を語った。(聞き手・編集局長 小野広司)

 ―事実上の一騎打ちを制した。
 「多くの声を聞き、なりわいや医療、少子化など全県共通の課題やそれぞれの地域、世代が抱える課題などたくさんのヒントをもらった。預かった課題を国政に反映させるため、全身全霊をかけて取り組む」

 ―選挙期間中、安倍晋三元首相の銃撃という民主主義の根幹を揺るがす事件が起き、何を考えたか。
 「絶対に許されないことで、多くの国民が民主主義とは何かを真剣に考えた瞬間だと思う。国政を引っ張ってきた安倍氏に多くのことを学んだ。(応援演説で来県した)5日には『しっかり頑張れよ。福島の星になって子どもたちの未来を輝かせてくれ』という言葉をいただいた。安倍氏の遺志でもある福島復興を、しっかりと進めたい」

 ―復興をどう加速させるか。
 「避難地域の復興には、生活拠点を整えるだけでなく、なりわいが必要で、それなしに本当の意味での復興はない。医療機関や福島国際研究教育機構などを市町村間で引っ張り合うのではなく、その効果が全県に及ぶようにしていくことが大切だ」

 ―震災後に地域医療や県民の健康を支えてきた経験をどう国政に生かすか。
 「市町村の枠を超え、地域医療を充実させる仕組みをつくりたい。参院議員の役割は大きいと考える。長期にわたり県民の健康を守るというテーマへの取り組みも自分の責務だと思う」

 ―人口減少対策についての考えは。
 「人口減の問題は子育て環境や医療、教育、なりわいなど多くの課題が関係する。それぞれを単独で考えるのではなく、幅広い分野の対策を組み合わせ、全県を挙げて取り組む仕組みをつくらないと解決できない」

 ―福島第1原発で発生する処理水の海洋放出について、風評防止や国民の理解醸成を含め、どうあるべきか。
 「これから先は、『風評が起きたら補償する』という手法を取るべきではない。科学的に安全だと一点張りするのでなく『安心してもらえる材料がこれだけそろっている』というレベルを目指すべきだ。風評が起きたらお金を出すという方法は、漁業者や農業者のプライドを傷つける」

 ―コロナ対策と社会経済活動の両立の在り方は。
 「観光や飲食など各分野で、ある程度コロナとの共存を考えていくしかない。そのためには現在の入院や検査に関する取り扱いの形を少し変える必要がある。そうしなければ出口が見えず、いつまでもアクセルの踏みようがない」

 ―物価高への対応は。
 「目標値を決めながら大胆かつ柔軟、迅速に行う必要がある。困っている人にお金を配るというのは一つの方法だが、あまりそこに軸足を置くのではなく、大きな概念と、地域の中の細やかな対策を組み合わせて対応することが必要だ」