【 福島市・飯坂温泉 】 豊富な湯量!疲れ癒やす 数寄屋造りの湯宿
俳人松尾芭蕉(1644~94年)も訪れた福島市飯坂町の飯坂温泉。体調が優れなかった芭蕉も温泉に入り、長旅の疲れを癒やしている。暖冬とはいえ、やはり寒さが募るこの時期、体調不良を訴える人も多いだろう。そんな時はのんびりと温泉に入り体を温めるのが一番いいのでは―。
寒がりな記者が訪れたのは、自然に囲まれた数寄屋造りの湯宿「摺上亭大鳥」。悠久の歴史を見続けてきた飯坂の象徴ともいえる摺上川と、築城の際に繁栄を祈り鶴を埋めて名付けたとされる「大鳥城」(現・舘ノ山公園)との間に、静かにたたずんでいる。福島協同施設が運営するJA共済グループの宿泊保養施設で、2001(平成13)年7月に旧「ホテル大鳥」を移転新築しオープンした。
館内に入ると、ロビーに広がるアロマの香りが穏やかな気分にさせてくれる。風呂のうちでも人気は源泉掛け流しの露天風呂で、肌に優しい湯が自慢。あふれんばかりの豊富な湯量で、ヒノキの香りと肌に優しい泉質が昼夜問わずに楽しめる。「桃泉」が男湯、「渓泉」が女湯。県産の鮫川石でできた大きな湯船は開放的だ。屋根が付いているので、天候を気にする心配がない。
少し熱めだが、優しい無色透明の湯が疲れを癒やしてくれる。例年ならこの時期は雪見風呂。今年はこれまで全く降雪がなかったが、ここに来てようやくちらほらと雪が―。摺上川のせせらぎに耳を傾けながら、湯船につかって山々の景色を眺めるのもいい。水素イオン指数(pH)8.39の単純泉で、源泉温度は52.4度。ほかに内風呂の大浴場(なごみの湯、いやしの湯)もあり、男女各浴場ともサウナや水風呂があるのもうれしい。
◆県産にこだわる
温泉以外にも魅力なのが県産食材にこだわった郷土料理「福島お膳」(全11品)。昨年4月から提供を始めた。出迎え3品は、浜通りの保存食「豆腐味噌(みそ)漬け」、中通りの家庭料理「いか人参(にんじん)」、会津に伝わる「にしん山椒(さんしょう)漬け」という本県の3地方を代表する料理で構成している。メインは「福島牛」と「麓山高原豚」の「豆乳しゃぶしゃぶ」。刺し身「けっとばし(会津の馬刺し)」や「川俣しゃも塩焼き」などもある。食器も本県産にこだわり、「大堀相馬焼京月窯」「会津本郷流紋焼」を使っている。
水口浩二社長(59)が推し進めるのは福島の食文化の発信。第1弾が「福島お膳」。第2弾が昨年8月にグランドオープンした「日本酒Bar香林」。全国新酒鑑評会の金賞22銘柄を含む県内54酒蔵の日本酒60銘柄を取りそろえる。「福島のおいしい料理と日本酒を満足していただけるよう一層の磨きを掛けていく」と赤井圭三総料理長(58)。酒は飲めないけれど、身近にある魅力的な湯宿に乾杯。
【メモ】飯坂温泉 摺上亭大鳥=福島市飯坂町字中ノ内24の3。日帰り入浴は午前11時30分~午後4時(受け付けは同3時)。大人800円、小学生400円。
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【斎藤清の「会津の冬」紹介】摺上亭大鳥から約1.5キロ、国道399号沿いにあるギャラリー梟(ふくろう)。3月31日まで、特別企画展「版画界の巨匠~不朽の名作~斎藤清 会津の冬」を開催している。世界的な版画家斎藤清の代表作「会津の冬」シリーズ約40点を展示。「高田町・高橋」などの大作もあり、佐藤光衛館主(78)は「全作115点から選ばれた作品。この機会に見ていただきたい」とPRしている。館内には4万点以上のフクロウグッズも並ぶ。販売もしており、お気に入りの品を探すのも楽しい。入館無料。午前9時~午後4時。日曜・祝日、新聞休刊日は休館。
〔写真〕斎藤清の「会津の冬」シリーズやフクロウグッズが並ぶ館内
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