集大成の滑り、モーグル女子・星野13位 初の決勝、臆せず果敢に

 
【女子モーグル決勝1回目】コブを攻める星野純子=張家口(共同)

 北京冬季五輪第3日の6日、フリースタイルスキー女子モーグルの星野純子(32)=リステル、猪苗代町=は決勝1回目で73.19をマーク。上位12人で争われる2回目への進出が期待されたが、0.41差の13位に終わった。

 集大成―。北京冬季五輪出場が決まる前から何度も口にしてきた思いを、夢舞台で確かに表現した。6日の北京五輪フリースタイルスキー女子モーグル決勝。メダルは届かなかったが、星野は初の決勝にも臆せず、果敢な滑りを披露した。

 8年ぶりの大舞台は心地よい場所だった。「戻ってきたいと思っていた。ここに立てて幸せです」。3日の予選で6位となった星野は、五輪で滑る喜びをかみしめているようだった。

 「努力の天才」。星野を知る関係者は選手としての魅力をこう表現する。2016年に左膝前十字靱帯(じんたい)を断裂した時、ワールドカップ(W杯)で結果が伴わずに代表の座を失いかけた時―。現状を決して悲観せず、ただ黙々と自分の滑りと向き合う星野の姿を多くの人が見てきた。

 16年のけがによる出遅れで前回平昌(ピョンチャン)大会出場を逃したことで、30代で迎える北京への意気込みは違っていた。しかし「(出場枠を懸けた)ポイントに萎縮していた」と代表選考の場となるW杯序盤は気持ちが空回りし「本末転倒だった」。

 思い出したのはソルトレークシティー大会を見て芽生え、それから約20年間変わらなかった「モーグルが好き」という気持ち。平昌大会まで3大会連続で出場し、現在は日本代表のコーチを務める遠藤尚さん(忍建設、猪苗代高卒)と滑りを安定させるためにターンに特化した練習に打ち込んだ。基本練習を徹底して自分を追い込む星野の姿に、遠藤さんは「強い意志を感じた」と尊敬の念を込める。

 ターンの安定性が増すと1月のW杯では6位、4位と好成績を連発、土壇場で五輪出場を手にした。その憧れの場所について「思いを伝える場」と話していた星野。全長250メートルのコースで披露した滑りからは、モーグルへの愛が確かにあふれ出ていた。(中国・張家口=本社報道部・折笠善昭)

 第一線退く意向

 星野は決勝のレース終了後、今後について競技の第一線から退く考えを示した。

 チームリステル監督「お疲れさま」

 星野が所属するチームリステル(猪苗代町)の高野弥寸志(やすし)監督(59)は「純子の集大成を見せてもらえた。お疲れさまと言いたい」と健闘をたたえた。

 高野監督は6日、星野と親交のある北塩原村裏磐梯地区の「ペンション楓(かえで)」でチームの仲間とテレビ観戦。3日の予選直後に通信アプリ「LINE(ライン)」で星野に「やるじゃん」とメッセージを送ると「まだまだ改善点はある。もっといい滑りをします」と返信があったという。4月からチームリステルの一員となるモーグルの西沢岳人(たけと)選手(22)=北塩原村出身、早大4年=も同席した。

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