福島商、終盤に力尽きる 天敵左腕攻略も...阿蘇「悔いはない」
聖光学院の校歌が流れ始めた球場で、決勝を戦い終えた福島商ナインには泣き顔と笑顔が交錯した。「聖光に勝つためにやってきたが、悔いはない」。その中で主将阿蘇航新(3年)の表情はひときわ晴れやかだった。
聖光学院には昨秋の県大会準々決勝、そして15点差の大敗を喫した春の県大会決勝と煮え湯を飲まされて続けてきた。特にこの日先発の左腕高坂右京(同)は、この2度の対戦で一度も得点を奪えていない相手だった。
春の県大会決勝以降、守備の強化とともにチームが続けてきたのが、苦手とする左腕対策。阿蘇らはベンチ入りできなかった遠藤槙と川村晴那の3年生左腕を打撃投手に、「打席で普段より前に立つ」など、攻略の糸口を探ってきた。
対策の成果は初回から表れる。関根紀(同)の左前打などでつくった2死三塁の好機。「絶対にかえす」と打席に入った阿蘇がうまく中央にはじき返すと、打球は外野手の手前に落ち三走関根が生還。スコアボードに意味のある「1」を刻んだ。
その後、点差は開いても最後まで諦めることなく18年ぶりの優勝を目指した福島商ナイン。「自分が主将になった後、迷惑も掛けたが、最後は全員で戦うことができた」。敗れはしたが、古豪を支えてきた主将の笑顔は最後まで消えることはなかった。