逆襲の聖光 主将の意地、高中...攻守でチーム牽引 6打点

◇全国高校野球選手権福島大会・最終日、決勝(25日・あづま球場)
聖光学院 11―10 学法石川
【評】聖光学院が土壇場で追い上げ、延長タイブレークをサヨナラで制した。6―10で迎えた延長十回、死球押し出しなどで1点差に迫り、三好が適時打で同点とした。なお1死満塁の好機に、片山が犠飛で試合を決めた。学法石川は1点を追う八回に内田の本塁打で同点に追い付いた。終盤まで相手に流れを渡さなかったが、延長十回はリードを守れなかった。(熊田紗妃)
高中「ミスをカバー、全員での勝利」
主将としての意地、プライド、チームへの思いを一身に背負い、攻守でチームを引っ張った。六回に走者一掃の適時三塁打を放つなど要所でチームを救った聖光学院の主将高中一樹(3年)は「ミスをカバーし合いながら全員で勝利をつかめた」と喜びをかみしめた。
3点を追う六回無死満塁で迎えた4打席目、フルスイングで仕留めたど真ん中の直球は中堅手の頭上をわずかに越えた。無我夢中で三塁まで駆け抜けると塁上で両拳を突き上げ、喜びを全身で表現。2、3打席目はフェンス直撃の適時二塁打を放っており、この試合6打点と大暴れだった。
遊撃手として守備でも躍動。八回1死三塁のピンチでは逆シングルでさばいた打球を迷いなく本塁に投げ、アウトにするなど堅守が光った。
県内最多の部員数を誇る聖光学院で1年秋からレギュラーに定着。昨夏は甲子園4強の立役者となった。「3年生の魂を受け継ぐ」と昨秋に主将に就任したが、冬場はチームづくりへの迷いから「逃げたい」と思うこともあった。そんな時に支えとなったのは卒業直前まで練習に顔を出していた赤堀颯(はやと)前主将の存在だった。「赤堀さんに『夏に向けて鬼になってやるしかないぞ』と言われた」。責務を全うする覚悟を決めた。
斎藤智也監督が「劣勢でもはつらつとプレーしてる。次、次という切り替えを周りに見せている」と賛辞を送るように、追う展開となった決勝も声や表情だけでなく、体全体を使って仲間を鼓舞し続けた。
2年連続の甲子園に向け「ここからが本当の勝負。チームを成長させたい」と高中。主将の言葉にもう迷いはない。(熊田紗妃)