猛攻、不屈の学法石川 中堅手・根本「恩返し」の緊急登板

◇全国高校野球選手権福島大会・最終日、決勝(25日・あづま球場)
聖光学院 11―10 学法石川
心の準備はできていた。十回裏、2点差まで迫られ、なお無死満塁のピンチに、学法石川の中堅手根本剛希(3年)が、5番手としてマウンドに上がった。
粘りの投球を見せていた松田陸王(同)が2連続押し出し死球と苦しい展開になった時、根本は、ベンチの佐々木順一朗監督が自分を指さすのを見た。急な登板にはいつも備えている。「いけます」と帽子のつばに手をやり、マウンドに向かった。
この試合、中堅手として闘志あふれるプレーを見せていた。六回、2死満塁の好機で遊飛に倒れたその裏、中越えの打球を追いかけ、フェンスに顔を強打した。担架で運ばれたが、「(好機で)失敗した分、チームに恩を返さなければ」と試合に戻った。十回表には2点適時打を放ち、球場を沸かせた。
マウンドでも抑えられる自信はあった。思い切って腕を振ったが最初の打者で味方が失策。続いて安打を浴び同点に追いつかれると、聖光学院の流れは止められなかった。直球を右翼に運ばれ、犠飛で試合は終わった。
1年夏から1桁の背番号を背負ってきた根本。今後、プロ志望届を提出する考えだ。「いいオヤジになれ」。佐々木監督のその言葉を胸に、人間的に成長していきたいと考えている。「負けたことは悔しいが、これからが大事だと思う」。大熱戦の経験を今後に生かしていくことを誓った。(国井貴宏)