聖光学院連覇【全国4強のその先へ・上】 決勝逆転劇の裏側

 
25日の決勝の延長10回裏聖光学院1死満塁、片山の犠飛で生還しガッツポーズする西本。聖光学院は延長十回に4点差をひっくり返す勝負強さを見せた=あづま球場

 全国高校野球選手権記念福島大会で2年連続の栄冠を手にし、甲子園出場を決めた聖光学院は、今大会で総合力の高さや勝負強さを見せつけた。チームの戦いぶりを振り返りながら、昨夏の甲子園で同校が成し遂げた創部初の4強入りのその先に進むための鍵を探る。

 劣勢想定の特訓生きた

 両チームの意地がぶつかり合う大熱戦となった25日の決勝戦。無死一、二塁から始まるタイブレークの延長十回表、学法石川が10―6と土壇場で大きくリードした。
 しかし、聖光学院ナインに焦りはなかった。その裏、死球押し出しなどで徐々に点差を詰めていき、10―10の1死満塁、片山孝(3年)の犠飛で三走西本颯汰(同)が生還。サヨナラ勝ちが決まりナインは歓喜に包まれた。

 実は聖光学院は、こうした展開を想定した練習を行ってきていた。5~7月、3、4点差をリードされて試合終盤を迎えたとの想定で行う実戦形式の練習を繰り返した。

 王者に隙はなかった。「あの練習が生きたことは間違いない」。延長十回に適時打を放って勝利に貢献した三好元気(同)は胸を張った。

 昨夏の4強入り後に発足したチームの歩みは、決して順風満帆ではなかった。主将高中一樹(同)を中心に一冬かけてチームづくりに取り組んだが、夏の前哨戦と位置づけて臨んだ春の東北大会は、初戦で延長十回タイブレークの末にサヨナラ負けを喫するという悔しい結果に終わった。

 「自分たち基準の成長でしかなかった。もう一度足元を見つめ直したいと思った」と高中。挫折を経て、チームは心一つに練習を重ねた。結果、今大会の決勝で、春の東北大会初戦と同じ延長十回に今度はサヨナラ勝ちを成し遂げた。

 26日に同校で開かれた優勝報告会で、斎藤智也監督は決勝を振り返り、「勝つことが当たり前でないことを実感した試合だった。もう一度ここから精神的な力をつけて甲子園で戦いたい」と語った。

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