乱打戦、田村に軍配 佐藤翔琉が二塁打3本「兄の分まで」

 
【田村―福島西】1回裏田村無死三塁、適時打を放つ佐藤翔=ヨーク開成山スタジアム

 ◇全国高校野球選手権福島大会・第1日(9日・ヨーク開成山スタジアム1試合)

全国高校野球選手権福島大会

 【評】田村が17安打を放って乱打戦を制した。8―8で迎えた7回、2死三塁から敵失で勝ち越すと、佐藤翔が適時二塁打を放ってリードを広げた。福島西は4回に逆転したが、後半に投手が捕まり、粘れなかった。(副島湧人)

 田村、終盤に貴重な追加点

 逆転に次ぐ逆転となった開幕戦は、終盤での勝負強さが光った田村が制した。二塁打3本で猛打賞の活躍を見せた田村の佐藤翔琉(かける)(3年)は「しっかり芯で捉えて、自分のポイントで打てた」と汗を拭った。

 初回、佐藤翔が適時二塁打を放つなど鮮やかな先制攻撃で5点を奪い、壮絶な乱打戦の口火を切った田村。4回に逆転を許したものの6回に同点とし、迎えた7回。敵失で1点を勝ち越した直後に佐藤翔に打席が回ってきた。「1点差ではまだ足りない」。真ん中に甘く入った変化球を振り抜き、終盤の貴重な追加点をもぎ取った。

 4番を担う航琉(わたる)(3年)は双子の弟。2歳年上の兄拓馬さんも田村野球部の卒業生で、聖地甲子園を目指して白球を追い続けたが、拓馬さんの最後の夏は新型コロナウイルスの影響で全国高校野球選手権大会が中止になった。

 過去5年間、2、3回戦での敗退が続いている田村だが、佐藤翔は兄から託された聖地への夢を背負い、弟とともに打線をけん引する覚悟だ。「我慢強く戦い、兄の分まで甲子園の切符をつかみたい」(熊田紗妃)

 福島西、執念実らず

 エースの執念は実らなかった。福島西の本田拓夢(3年)は1回途中からマウンドに上がり8回を投げたが、終わってみれば10失点。「相手のスイングが強く、高めを打たれた」と唇をかんだ。

 1年の後半に部長の助言で横手投げに転向。5回まで直球を軸にコーナーを突き、打たせて取る投球を見せた。異変が起こったのは6回、暑さの影響で両足がつりコースが甘くなった。それでも、今年4月に負った腰の疲労骨折を乗り越えて背番号「1」をつかみ取った本田は、最後まで158球を投げ切る意地を見せた。

 「チーム全員でつらいことも乗り越えてきた。やり切った感が今は一番強い」。悔しさの一方で、充実感もにじませた。

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