ふたば未来高・大和田さん「感謝伝えたい」 聖火リレーに思い

 

 東京五輪の聖火リレーが25日、本県復興のシンボル、Jヴィレッジ(楢葉町、広野町)を出発する。「震災の時の支えや自分が大変な時期に力になってくれた人たちへの感謝の気持ちが伝わるように走りたい」。震災、原発事故が起きた2011(平成23)年のサッカー女子ワールドカップを制した「なでしこジャパン」と同じく、Jヴィレッジで聖火をつなぐ大和田朝斗さん(16)=ふたば未来学園高1年=は思いをはせる。

 幼稚園の年長児だった6歳の時に被災した。広野町から会津地方などに避難し、父親が単身赴任をしていた栃木県で3年間を過ごした。小学4年の時に古里に戻ったが、学校になじめない時期もあった。その時、多くの人に支えられた。広野中時代には、Jヴィレッジを拠点とするサッカーチーム「JヴィレッジSC」に入り、学校では生徒会長を務めた。「手を差し伸べてもらったことがすごく力になった」

 新型コロナウイルスの感染拡大による延期から1年。伝えたい思いが一つ増えた。進学したふたば未来学園高でミャンマーからの留学生と仲良くなった。同国でクーデターが発生したことで、家族と連絡が取れずに不安を募らせる同級生の姿を目の当たりにした。

 震災で味わった当たり前のことが当たり前でなくなった日の記憶がよみがえった。「世界中の人の協力で五輪を開催できる。復興だけではなく世界の平和を願う気持ちを伝えよう」との思いが強くなった。

 新型コロナは収束せず、聖火リレーの実施を望まない声があることも知っている。避難先で原発事故に関連した偏見を経験したからこそ、考え方の違いや対立に敏感になっている。それでも五輪の開催を願う人の力になれればと、聖火ランナーを辞退しようと思ったことはなかった。「一人一人の走る距離は短くても聖火は全国へとつながっていく。その一部になりたい」。希望の火をともしたトーチを手に胸を張って走りきるつもりだ。

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